リスクを感じたらすぐに整備を


このような研究もふまえて、米国疾病予防管理センター(CDC)からはこのようなチェックリストが公開されています(参考文献2)

 床 
Q.部屋の中で、家具が歩行の妨げになっていないでしょうか?
——もしあれば、家具を移動させましょう。

Q.床に小さめの滑りやすいラグマットはないでしょうか?
——もしあれば、ラグマットを取り除くか、マットをテープでしっかりと固定しましょう。

Q.床に本や雑誌が置きっぱなしになっていないですか?
——常に整理整頓するようにしましょう。

Q.電源コードや延長コードなどが歩くところにありませんか?
——あれば、壁際に寄せておきましょう。
 

 階段 
Q.階段の灯りは十分ですか?
——階段の上下の位置に適切な灯りを取り付けるようにしましょう。

Q.階段の電気のスイッチは階段の上下両方にありますか?
——スイッチが片方にしかなければ、両方につけられるように工事をしてもらいましょう。

Q.階段の手すりはしっかりと固定されていますか? 両側についていますか?
——緩んでいる手すりはしっかりと固定し、また片側にしかない場合には両側に手すりをつけることも検討しましょう。
 

 台所 
Q.よく使うものを高いところに収納していませんか?

——よく使うものは手の届きやすい位置に収納するよう整理しなおしましょう。

Q.高いところのものを取るのに、不安定な脚立や椅子を使ったりしていませんか?
——高いところのものを取り出す時には椅子を使わず、階段式の安定した脚立を使うようにしましょう。つかまるところのあるものだと尚良いです。
 

 風呂 
Q.浴槽などは滑りやすくなっていませんか?

——必要に応じて滑りどめマットなどを活用しましょう。

Q.浴槽に入るのに、何らかのサポートが必要ではないですか?
——もし必要であれば、手すりの取り付け工事を検討しましょう。
 

 寝室 
Q.寝室のベッドサイドランプのスイッチは手の届く範囲にありますか?

——ベッドサイドランプは手の届く範囲に近づけましょう。夜中にトイレに行く際にもすぐに灯りをつけられるようにしましょう。

Q.寝室からトイレまでの通路は暗くないですか?
——常夜灯などの取り付けを検討しましょう。

 

いかがでしょうか。自宅環境一つをとっても改善できるところが数多くあることに気がつくはずです。こういった自宅環境の見直しも、あなたの体を守るのに役立つものになるはずです。

 

特に高齢のご家族がいる場合には、比較的急ぎで取り組む必要のあることも含まれていたかもしれません。ご家族の中でも話し合いを行い、普段からリスクを感じるところについては、環境整備もぜひ検討してみてください。
 


前回記事「「足の手入れ」が老化を遅らせる! どうケアすればいい?【医師が解説】」はこちら>>


参考文献
1  Keall MD, Pierse N, Howden-Chapman P, et al. Home modifications to reduce injuries from falls in the Home Injury Prevention Intervention (HIPI) study: A cluster-randomised controlled trial. Lancet 2015; 385: 231–8.
2  CDC National Center for Injury Prevention H. Check for Safety: A Home Fall Prevention Checklist for Older Adults. www.cdc.gov/steadi (accessed June 27, 2021).

 

構成/中川明紀
写真/shutterstock

 
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