痛がる妻を嬉しそうに見つめる夫


Dさんが夫となる男性と知り合ったのは有料かつ会員制の結婚相談所でのこと。結婚相談所での出会いは戸籍の提出など、ある程度、身元を明らかにして行われるもの。

その彼はバツイチでしたが「前の奥さんが家事をしない人で。俺はやってあげたいから別によかったんだけど、相手が仕事もあって精神的に潰れちゃって」と離婚の理由を説明したと言います。

結婚相談所での出会いはスピード勝負。ゴールインまで即決・即断を求められるものの、しかしそれを承知で結婚相談所を利用していたDさん。なぜなら自身の年齢を考え、安全、安心、スピーディーに一刻も早く家庭と子どもが欲しかったからです。そこで数カ月のお付き合いでその彼との結婚を決意。付き合いの浅い2人ですから多少の違和感はありましたが、人生をともにしていけば馴染んでいくだろうと大らかに構えていたのです。

 

結婚後は希望通りスムーズに妊娠。順調な滑り出しに喜んでいたのも束の間、彼はなぜか暴力を振るうようになりました。理由?「そんなもの今もわからない」とDさんは言います。

最初の暴力は、夫の背中をマッサージしている最中でした。突然振り返ってバチンと頬を叩かれました。「殴られると本当に目の前に星が飛ぶんだな」と、一生知らなくてもよかったことを知ってしまったDさん。そのとき「手が出る男はダメだ。今は妊娠中だからすぐには離婚できないけれど、一生添い遂げることはできない、10年かけても20年かけても離婚しなくては」と思いました。

しかしそんなにのんびり離婚を計画している時間を与えてはもらえませんでした。夫のDさんに対する執着が大変強く、執拗に彼女を構いたがったからです。

Dさんの夫はサービス精神旺盛でした。ご飯は絶対家で食べる、仕事もできるだけ家でする、そうして一緒にいることがDさんへのサービスだと思っていた節があったようです。だからこそマッサージもされるだけでなく、彼女にもお返しにしてくれました。テレビの罰ゲームのような、超絶に痛い足ツボマッサージを。

「痛い痛い」と身を捩って嫌がる彼女を、笑いながら嬉しそうに見ている夫。二の腕マッサージという名で、二の腕の皮膚の表面を薄く強く、嬉しそうにつねってきたこともありました。

乳房もマッサージのターゲットでした。妊娠中なので蝕られると激痛が走ります。それに妊娠中に乳房を触られることにより早産を引き起こす可能性が上がります。やめてくれと言っても夫は聞いてくれず、両腕を拘束され、いつまでも嬉しそうに執拗にもみしだかれる地獄。

出産しても夫の態度は変わらないどころか、悪化する一方でした。その頃には夫は酒量が増え、完全なアル中に。酒代が家計を圧迫し、酔えば絡んで長時間にわたる説教タイムが行われるようになりました。

「やっと終わった」とホッとすれば、夫はDさんのその表情の変化を見逃さず、さらに延びる説教時間。「表情筋のそんな細かいところまで自分を完全には捨てられない」と苦悩する彼女の心中を知ってか知らずか、「お前がどう考えていても、俺が思っている通りに思っていろ」と気持ちまでを支配しようとするような非道いセリフを投げつけられる。

そんな理不尽な生活が気付けば3年以上も続き、子どもは3歳になっていました。

そしてある日事件は起こります。

(次回につづく)

前回記事「「お前の夫も娘もみんなお前に騙されている、それを暴くためにここに来ているんだ!」と面会交流強行する男」

 
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