治せる原因を見逃さないことが大切
ビタミンB12は神経細胞の機能維持に重要な役割を担うため、欠乏してしまうと認知症を発症することがあります。同時に、血の赤色をつくる赤血球がうまく作れなくなり、そのサイズが大きくなったり、貧血を生じたりといった変化も起こり得ます。
このため、認知症に加えて血液検査で貧血などの変化を見た場合に、真っ先にビタミンB12欠乏を疑うことになります。ビタミンB12の値は、血液検査で簡単に調べることができますので、主に症状と血液検査から診断に迫っていきます。
認知症の原因がビタミンB12欠乏の場合、ビタミンB12のサプリメントを補充することで認知症の症状が回復していくことが期待できます。実際に、「アルツハイマー病の疑い」とご紹介をいただいた患者さんが、蓋を開けてみればビタミンB12欠乏症だったということも時々経験しています。
これらの認知症は「treatable dementia(治療可能な認知症)」と呼ばれています。認知症の中にも、このように治せる原因があるので、認知症の方を見てすぐに「アルツハイマー」とレッテルを貼らず、治せる原因を見逃さないことが大切なのです。
前回記事「認知症の原因の60%以上。アルツハイマー病研究の現状とは【医師が解説】」はこちら>>
参考文献
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写真/shutterstock
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