皆さんは、「せん妄」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、実はこのせん妄、多くの人にとって、とても身近な問題です。

特に、病院の中にいると、せん妄に出会わないことはないと言っていいぐらいかもしれません。65歳以上で見ると、入院した人の約3割にまでせん妄が見られることが報告されています(参考文献1)

では一体、どのような問題なのでしょうか。

せん妄とは、場所や時間が突然わからなくなったり、興奮、錯乱といった気分の異常が突然起こったりする精神機能の障害を指します。これではまだ分かりにくいかもしれませんので、もう少し噛み砕いてみましょう。

 


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大きなストレスが脳の機能に影響を及ぼす


例えば、あなたが突然体調を崩し、病院に入院することになったとします。住み慣れた自宅とは異なる環境で突然一晩を過ごさなければならなくなるわけです。

高齢入院患者の3割が発症!興奮や錯乱を起こす「せん妄」とは_img0
 

4人部屋などであれば、隣にも足もとの方にも体調を崩した別の患者さんが寝ている環境になります。それだけでも居心地が悪いと感じるかもしれません。また、体調が優れないことや先行きへの不安も重なります。少し想像するだけでも、とても大きなストレスではないかと思います。

そのような精神的あるいは身体的ストレスが一気にかかった時、脳が普段通りに機能しなくなり、視界が暗く狭まってしまうことがあります。

入院をしたことのない人でも、例えば大切な試験やイベントの前などに緊張などからストレスがかかり、脳にもやがかかったような、脳がうまく働かない感覚を経験したことはないでしょうか。入院では、それ以上に大きなストレスが一気にかかることになります。

 
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