「認知症に効く」という言葉にご用心
認知症の原因は表のように多岐にわたることが知られています。
アルツハイマー病
脳血管障害
レビー小体病
正常圧水頭症
ビタミンB1 欠乏症
HIV脳症
多発性硬化症
甲状腺機能低下症 など
聞き慣れない病気も含まれていたかもしれませんが、原因疾患がいくつもあることはお分かりいただけたのではないでしょうか。このように、同じ「認知症」でも原因は多岐にわたり、そして原因が違えば、治療、予防法も大きく異なります。このため、「認知症に効く」などの宣伝文句はその出発点からやや疑わしいということになります。
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これら様々な原因の中で、60%以上と最多を占めるのが「アルツハイマー病」です(参考文献1)。
アルツハイマー病は、厳密には未だ原因不明の病気ですが、現在までに分かっていることもたくさんあります。例えば、アルツハイマー病の患者さんの脳の中には、老人斑と呼ばれる沈着物が発症の比較的早期から認められ、その主要な構成成分がアミロイドβ蛋白(Aβ)であるということがわかっています(参考文献1)。
このAβは、周囲の脳の細胞に対して毒性を持つことも分かっており、Aβが蓄積すると細胞の死が導かれて、脳の機能が低下してしまうのです(参考文献2)。
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