こんにちは! お悩み相談のlifeコーナーの原稿を担当させていただいております、ライターの山本奈緒子と申します。

年齢を重ねると、様々な体調不良に悩まされることが多くなるだけではなく、家族や友人やなど身近な人が病気になったり、親の介護問題も出てきたりしますよね……。そこで今回は、「がん哲学外来」を開設し、がんによる不安を抱える患者や家族を支援している医師の樋野興夫先生に、お悩みに答えていただくことにしました。

樋野先生は、現在、順天堂大学医学部、病理・腫瘍学の教授を務めておられます。これまでは研究室でがん細胞を研究したり、亡くなられた方の病理解剖を行っておられましたが、医師とがん患者の隙間を埋めたいと、2008年に「がん哲学外来」をスタートされました。

がんになると多くの人は生きる希望を失い、うつ的な症状を発症します。そんな患者や家族を、対話を通して支援をする予約制の無料個人面談を始められたのです。面談では時間をかけて患者とじっくり向き合い、患者不安を少しでも和らげられるよう様々な言葉をかけています。まさに「言葉の処方箋」です。

そんな樋野先生が、このたび、mi-mollet読者一人一人のお悩みにも「言葉の処方箋」を授けてくださいました。きっと先生の回答を読むことで、肩の力が抜け、自分の成すべきことが何か見えてくるのではないかと思います。「私にはまだピンとこないことだし……」という方も、命との向き合い方について考える良い機会になると思いますので、ぜひ読んでください!

サッキーさんからの質問
Q.
増える芸能人のガンに不安が……。正しい予防法を知りたい

川島なおみさんのガン死、北斗晶さんの検診に行っていたのに乳がん発症と、最近女性のガンのニュースをよく耳にします。父方がガン家系なのもあり、すごく恐いなって思ってしまいます。予防的な観点で、ガンにならないための生活習慣とかがあれば教えてください。玄米菜食がいいとか、ガンになりやすい考え方の人がいるとか、巷にはいろんな情報があふれていて、それに踊らされている状態です……。

特別ゲスト 樋野興夫先生の回答
A.
最大のがん予防は検診を受けること
発見が早ければ75%の人は治るはずなんです

びっくりされるかもしれませんが、今や、生涯のうちにがんにかかる人の割合は、2人に1人なんです。そしてそのうち、3人に1人は亡くなっているのですよ。とくに芸能人に多いわけではなく、女性に増えているわけでもなく、今は誰しもががんにかかる可能性がある、ということです。

このデータにショックを受けられたmi-mollet読者さんもいらっしゃるかもしれませんが、これだけがんが増えているのは、人間の寿命が延びたからでもあるんですよ。1900年頃は平均寿命が40歳ぐらいだったのに対して、今は80歳ぐらい。つまり、昔はがんになる前に寿命が尽きていた、という考え方もできるのです。こう知ると、少し「なーんだ」という気にもなりませんか?(笑)

さらにお伝えしますと、今はがんにかかっても50%が治っているんです。これがさらに2,3年早く発見されれば、75%まで上がるはずなのですよ。つまり早期発見ができるよう検診をこまめに受けることが、何よりのがん予防というわけ。残念ながら、いくら食事に気を付けても運動をしても、それは関係ないんですよね……。だってスポーツ選手だってがんになっている人はいるし、まったく運動をしない寝たきりの老人ががんになるかというと、そんなことはないでしょう?

そもそもね、生きることとはがん化すること、でもあるのですよ。生きて毎日細胞分裂を繰り返す限り、細胞はどんどんダメージを受けていくわけですから。それなのに「予防、予防」と気にばかりしていたら、人生疲れちゃいますよ。

ですから病気に対しては、心の中でそっと心配して、あとは「なるようにしかならない」と考えることです。そうして、もっと他の優先順位の高いことに、時間を費やしましょうよ。

いかがですか?
樋野先生の回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE
  • 樋野 興夫さん1954年、島根県生まれ。順天堂大学医学部、病理・腫瘍学教授。2008年に「がん哲学外来」を開設。理事長として、がんによる不安を抱えた患者や家族を支援するため、無料の個人面談をおこなっている。その対話からたどり着いた人生観、死生観を綴ったエッセイ『明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい』(幻冬舎)が話題となっている。他著書に『いい覚悟で生きる』(小学館)などがある。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る