せん妄は調子のいい時と悪い時がある
突然、興奮や錯乱を起こす精神機能の障害「せん妄」は、医学的には主に次の4要素から成り立ちます。
1 急激に変動する症状
2 注意力の欠如
3 思考の乱れ
4 意識状態の変化
これらのうち、1と2があり、その上で3または4の症状がある際に、せん妄と考えることができます(参考文献1)。
「急激に変動する」というのが「認知症」と大きく異なる点の一つです。認知症では一貫して症状が出るのに対して、せん妄では調子のいい時間帯と悪い時間帯があります。夜中に混乱して暴れていた人が、昼間に会いに行ったら、静かないつも通りの状態に戻っていた、などということも決して稀ではありません。
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また、注意力の欠如というのは、せん妄を見つける上で大切なポイントです。例えば病院では、「30から1まで逆向きに数字を数えてみてください」という簡単なテストをすることがあります。日常生活で1から順番に数字を数え上げることはあっても、逆向きに数字を数えることはあまりありません。ですので、いつも以上の注意力を要します。
せん妄がある人の場合、一見普通に会話が成り立っているように見えても、このテストをすると異常を検出できることがあります。20までスムーズに数えていたと思ったら、そこで急に止まってしまい、30まで逆戻りしてしまう、などといったことが見られるようになります。
それに加えて、会話が噛み合わない、落ち着きがない、などが見られたら、せん妄と考えることができます。
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