夜の病院で戦う5人の医師が織りなす“青春群像医療ドラマ”『ナイト・ドクター』。初回見逃し再生回数がフジテレビ歴代1位になったことでも話題を集めています。日曜劇場『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』のような“THE医療ドラマ”が好きな人には少し物足りないかもしれませんが、人間ドラマが好きな人にはぜひ見てもらいたい作品です。


夜間勤務の救急医たちが考える「普通」とは


このドラマ、現代の医療が抱える問題と、医師たちの悩みが巧妙に組み合わさっていくんです。第5話までは、「医療の人手不足」「コンビニ受診」「無保険患者」などを議題に挙げながら、それぞれのバックグラウンドが明かされてきました。

 

これまで放送されたなかでとくに印象に残っているのが、第2話で描かれた“普通”について。夜間勤務の朝倉美月(波瑠)からすれば、陽が昇る頃に仕事を終えて、夜になったら仕事が始まるのが“普通”です。けれど、周囲からすれば、その生活は“普通”ではない。

恋人にも、「寂しかったんだ。俺は、美月と“普通”のカップルみたいにデートがしたかった」と浮気され、父からは、「お前には“普通”になってほしい」と夜間勤務を辞めるよう促されてしまいます。

さらに、成瀬暁人(田中圭)まで「こんな仕事してて、まともな恋愛できるわけない。“普通”の人とは生活リズムが違うんだ」と吐き捨ててきて。朝倉からしたら、「私の“普通”は私が決める!」って感じですよね。

そんな時、緊急外来にワーキングマザーの鮎川希実(谷村美月)が、息子の玲生を連れてやって来ます。てっきり、コンビニ受診(※夜間の救急外来に、緊急性のない患者が自己都合で訪れること)だと思った朝倉でしたが、実は玲生は胆道拡張症を患っていて……。

共働き家庭が増えている現代。朝倉も言っていたように、少し前までは女性は結婚して子どもを産んだら家庭に入るのが“普通”と言われていました。けれど、最近は女性が外に出て働くのが“普通”になりつつあります。

「“普通”のお母さんなら、子どもを昼間に病院に連れて行けていたのに……」と呟く希実に、朝倉は、「“普通”なんて、時代や社会によって簡単に変わるのに、そんなものに振り回さされる必要ってあるんですかね」と語りかけます。“普通”が変わっていっているのに、昼間に病院に行くことだけが“普通”として残っているのはおかしいと。

いる環境によって、“普通”の基準なんて簡単に変わってしまう。それなら、自分が楽しくやりがいがある道を選びたいよなぁと思わされました。

 
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