理想の夫の姿は全て虚構だった
「ある日、知らない女性から怒りの電話がかかってきて……。『あなたのご主人と付き合っていました』と言われて耳を疑いました。結婚していることは知らず、騙されていたと言うんです。超真面目で、あんなに私を愛してくれている夫に限って、そんなことは絶対にありえないと思いました。
でも、その数週間前に彼は福岡出張に行っていたのですが、その女性曰く一緒に福岡にいたと言うんです。日程もぴったり一致していたので、さすがに偶然ではないかもしれないと気づいて……」
沙也加さんはすぐに夫を問い詰めました。すると彼はそれが事実であることを認め、泣きながら謝罪したのです。しかし本当に驚かされたのはここからでした。
「彼のスマホを取り上げて、LINEも全て見たところ、とんでもない事実が発覚しました。なんとその女性以外に、3〜4人の浮気相手がいたんです。それだけではありません。元夫はそもそも出張の多い部署にいたので、それまで出張も疑っていなかったのですが、実は数年前に異動になっていたことがわかりました。出張は全部嘘でした……」
信じられないことに女性問題だけでなく、所属部署まで妻に偽っていたのです。理想の夫だと思っていた姿は、全てが虚構でした。
10年前から続いていた夫の裏切り
結局これをきっかけに、別居を開始した二人。その間も、元夫からは謝罪のメールがたびたび送られてきたといいます。
「メールには恐らく嘘はなく、全て正直に書かれていました。複数の女性との浮気は、私が転職した直後から始まったようでした。しかも私の方がキャリアで成功していったことが、彼のプライドを大きく傷つけていたみたいです。つまり10年間も浮気し続けていたことになります。しかも何人もの女性と。
私や息子の前ではずっと完璧な夫や父親を演じながら、複数の女性と関係を持っていたなんて本当にショックでしたね。彼はやり直したいと言ってきましたが、もう一緒に暮らす気はありませんでした」
別居を開始してからの半年間は、情緒不安定な状態に苦しめられたといいます。
「生理的な嫌悪感が何よりも強く、やり直すつもりは一切なかったです。でもすぐには心の整理ができず、離婚届を出す覚悟が決められませんでした。
彼に対する未練はないですが、喪失感がすごかったです。この世の誰よりも信頼し、心の底から愛していたのに、そういう存在を失ってしまった喪失感。なかなかそこから抜け出せず、毎日を過ごすのが本当に辛くて、『目が覚めたら全てが嘘であってほしい』と泣きながら眠る日々が続きました」
そんな状態が半年ほど続き、ようやく立ち直ってきた頃。次に沙也加さんを苦しめたのは「子供のために、このまま離婚してしまってよいのか」という葛藤でした。
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