「さっさと離婚すべき」という周囲からの煽り

「真面目な夫に、10年前から裏切られていた」理想の夫婦と言われた二人が離婚した衝撃の理由_img0
 

「子供の前では本当にいい父親で、子供もパパのことが大好きでした。それなのに別れてしまうことは、子供から父親を奪うことにならないか? とか、私さえ我慢すれば全て解決するんじゃないのか? と自問自答して、その時間がなにより苦しかったです。それで結局、別居から離婚まで3年かかってしまいました」

そしてその間、沙也加さんが気になったのは周囲の反応だったそうです。

「離婚の本当の理由は、本当に親しい人以外には話していませんが、話した友人の中には『そんな最低な男、さっさと別れるべきだ』と別居中に言ってくる人もいました。でも私だけの問題ではなく子供に関わることでもあるし、きちんと心の整理がつくまで時間が必要でした。だから離婚まで3年かかったことも後悔していません」

確かに芸能人のゴシップなどを見ていても『さっさと離婚したほうが幸せになれる』などの反応を頻繁に目にします。しかし他人のことはどんなに簡単に言えても、当人にとってはそう単純な話ではないですよね。

「また離活をしているママ友から『沙也加は自分に経済力があるから簡単に離婚できて、いいなあ』と言われたことがあって……。私にとって離婚は全く簡単なものじゃなかったし、望んでこうなったわけでもありません。そう言われたときは複雑でした」

3年の別居生活を経て離婚した後は、どんな気持ちだったのでしょうか?

「それなりに解放感もありましたが、心の傷がそう簡単には癒えなくて……。元夫に10年間も騙されていたのに、それを全く見抜けなかったんです。きっと自分は、相当男性を見る目がないのだろうなと思ったし、また誰かを信じて裏切られたらどうしよう……という思いが邪魔をして、もう二度と恋愛も結婚もしないと心に誓っていました。離婚から2年経った今、ようやく完全に立ち直ることができた気がします」

子供を会わせるため、元夫の顔を見ることもあるそうですが、今は彼に対して何の感情もないと語る沙也加さん。ここまでの道のりは本当に険しかったようです。

「それでも結婚していなければ子供は生まれなかったので、結婚したことは後悔していないし、もちろん離婚に後悔もありません」

そう言って明るい笑顔を見せてくれました。

 


実際、離婚をして幸せになれたのか?


最近では「離活」という単語もブームとなり、離婚そのものに対する価値観は大きく変わりつつあります。「離婚して、さらに幸せになれる」という考え方が一般化するのはとても素晴らしいことですよね。

しかし一方で、沙也加さんの話を聞いていると「離婚した方がよい」「離婚した方が幸せになれる」という価値観をむやみに他人に押し付けることは避けるべきだと思いました。

いくら離婚に対するハードルが昔より大きく下がったといっても、心に傷を負った人にとっては、離婚はやはり辛くて大変な出来事。そのダメージから立ち直るのに、時間や労力が必要な人はたくさんいるはずなので、それを理解し合えるといいですね。

そして、おそらく離婚を考えたことのある人が気になるのが、「実際、離婚したら幸せになれるのか?」ということだと思います。沙也加さんはどうなのでしょうか。

「未練や後悔は一切ありませんが、『離婚した後は幸せになれるのか?』と聞かれたら、少し答えに詰まってしまうかもしれません。愛する息子がいるので現在も幸せですが、離婚して幸せになったというわけではないので……。でも、人生まだまだこれからだと信じています(笑)」

最近は、出会いに関しても少しずつ前向きになり始めているという沙也加さん。紆余曲折あって困難を経験した先には、必ず新しい幸せが待っていると信じたいです。
 

構成/山本理沙


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