愛し合っていたのに、夫から突然離婚を突きつけられ……
結婚当初はとても仲が良く、結婚生活は順調でした。ところが異変が起きたのは、結婚して3年が過ぎた頃。
「その1,2ヶ月前から、最近なんか変だな……とは思っていました。もともと愛情表現がかなり豊かなタイプだったのに、やけに冷たくなって。ギクシャクした空気に耐えられなくなり、ある日『言いたいことがあるなら、ちゃんと言って』と彼を問い詰めたんです。そしたら……」
彼から突きつけられたのは、なんと離婚の提案でした。理由を尋ねると、それまで一言も口にしたことのなかった夫婦生活の不満を全て一気にぶつけられたそうです。
特に彼が主張したのが、価値観の違いでした。由梨さんの金銭的な価値観についていけなくなったと言うのです。お互いに共働きで財布は別。家にかかるお金や貯蓄額をお互い決まった口座に入れて、残りはそれぞれが管理していました。
「買い物や旅行に対するお金の感覚が全く違ったんですよね。私はどちらかというと派手な方で、貯めるより使うタイプです。結婚前からわかっていたことだし、自分で稼いだお金をどう使おうと私の自由だと思っていました」
さらには、由梨さんの“上昇志向”にも否定的でした。由梨さんは夫にももっと稼いでほしいと思っていたので、以前から転職を勧めていたのです。
「転職の後押しもしていたし、ビジネスで成功している友人の集まりに積極的に連れていき、『あなたももっと上を目指せるよ』と背中を押し続けてきたのですが、それが全て裏目に出たようです。『これ以上のプレッシャーに耐えられないし、由梨の期待しているような男にはなれない』と言われました。私は、自分の理想を押し付けすぎていたんでしょうね」
突然の離婚話に、プライドも全て捨て、泣きながらすがりついたという由梨さん。しかし冷たく振り払われ、かつて愛してくれた夫とは別人のようでした。そこからしばらく毎日のように必死で説得を試みましたが、夫は「離婚する」の一点張り。
「ついには判子を押した離婚届を渡されて、いつのまにか不動産探しもしていたらしく、勝手に引っ越していきました」
しかし、離婚はひとりでできるものではありません。どうしても別れたくないのならば、由梨さんが判子を押さなければ良いのです。彼の気持ちが変わるまで、意地でも離婚はしないと決意しました。
「あんなに溺愛してくれた彼が、今さら価値観の違いが理由で、こんな風に私を捨てるなんて納得できなかったんです。でもある時、疑念が生まれました」
別居先の住所を聞いても、彼は頑なに答えようとしないのです。そういえば別居前も、たびたび帰ってこない夜がありました。男友達の家で飲んでいたとか、急な出張が決まった、などの言い訳を鵜呑みにしていましたが、もしかして他に女性がいたのかもしれません。
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