ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考えます。
いつもは妻か夫のどちらか片方の話だけを聞いていたこの連載。今回は、夫婦両サイドにインタビューする機会に恵まれました。晩婚カップル、男と女の言い分やいかに?
園子さんと太郎さんは、中学時代のクラスメイト。ふたりが通っていたのは都内のエスカレーター式の私立だったので、クラスが別々になっても、高校・大学では同級生、という間柄。だけど学生時代はお互い恋愛感情はゼロだったと言います。
実は晩婚夫婦を取材していていちばん多い出会いのきっかけが、「昔からの知り合いとの再会」。お互いの若い頃を知っていたり、バックグラウンドが一緒だったりする安心感から、心を許しやすいというのが理由のひとつ。もうひとつ言えるとしたら、最初から結婚を意識したりしないで人柄を知るところから入ることができるので、婚活と違って年齢で足切りされたりしない、というのも、アラフォーが結婚しやすいポイントなのかもしれません。
さて、今回取材したご夫婦のご主人、太郎さんは、39歳まで結婚願望ゼロ。「そもそも結婚したいと思ったことがない」そう。そんな太郎さんが、なぜ40を手前に結婚を決めたのでしょう。
ということを探るために、まずは太郎さんの経歴からご紹介します。
太郎さんはひとりっ子。仲のいいご両親の間に育ち、家事もひと通りできる自立した男性。音楽が大好きで、大学卒業後は音楽関係の仕事がしたいと、ニューヨークに留学します。
ビザのために語学学校に通って半年で卒業後は、現地で仲のいいレコード屋の店員に「どこか音楽関係の仕事を紹介してよ」と言って紹介してもらったレコード会社のインターンシップに。真面目な働きぶりが社長に気に入られて、社員に採用されました。
そんな自由な生き方をしていたため、付き合う女性は居たものの日本との遠距離恋愛だったりして、結婚には至らず。「今思えば、どの相手も、結婚しなかったのが別れの原因だったかも」と、太郎さん。クラブミュージック関係の仕事ではゲイの人々と関わることも多かったため、同級生の間ではいつまでも独身の太郎さんがゲイだという噂が流れ、園子さんも、付き合うまでは太郎さんがゲイだと思っていたそう。
その後、太郎さんが日本に戻ってきて新しい職場で働いていた頃は、園子さんは夫との離婚によりバツイチになりメンタルをヤラれて入院、その後婚約相手と婚約破棄、という、なかなかハードな経験を乗り越えたあとでした。
ふたりが学生時代以来の再会を果たしたのは、共通の知り合いである同級生の、ツイートがきっかけ。
「誰か明日ブランチにパンケーキ食べに行かない?」というA子さんのツイートを見て、それに乗っかったのが園子さんと太郎さんのふたり。
久々に集まった同級生との話が盛り上がって別れがたく、A子さんにエステに行く予定があったため、3人は「夜もまた会おう」と約束して一時解散。その後、園子さんのひとり暮らしのマンションの部屋に集まって、園子さんの手料理を食べながら、互いの卒業後の人生について報告し合ったのです。
そのとき、園子さんは、幼稚園からの幼馴染だったA子さんに今までの恋愛事情を洗いざらい話しました。自分が新婚早々浮気され、2年半の泥沼裁判でようやく離婚が成立したこと、その後自分のマンションを買って、婚約者ができて結婚しようと思っていたけれど相手のモラハラ気質に気づいて婚約破棄したこと、などなど、太郎さんは、中学以来まともに話したことのなかった園子さんがいかに波乱万丈な日々を送ってきたかを知り、「そんなに大変な経験をしたのに、よくスレずに生きてきたね」と思わず口にしたそう。
後々結婚を決めたとき、園子さんの過去をすべて知っているというのは安心材料のひとつだったそうなので、まだ友達だった段階でこの話が聞けたのもよかったみたい。付き合おうとしているときに一気に話されたら、ちょっと重かったかもしれないですもんね。
そんなわけで、ひょんなことから旧交が温まり、急接近した園子さんと太郎さん。ここからどう恋愛に発展したのかは、次回に続きます。
構成/川端里恵(編集部)
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