ミモレ読者の皆さま、こんにちは。〔ミモレ編集室〕6期生のれいです。

〔ミモレ編集室〕で月に一度行われる編集・ライティング講座。第16回を迎えた今回は小島慶子さんに「ジェンダー平等を理想論にしない伝え方」をテーマにお話しいただきました。講義を聞くだけではなく、小島さんの講義の後にグループワークの時間があり、〔ミモレ編集室〕のメンバー同士で、自分たちが今まで「これって男女差別じゃないの?」と感じたこと、その経験を元に日常生活でどんなアクションをしたかという内容を4〜5人のグループに分かれてシェアしました。今回はその模様をレポートします。

各グループの発表に優しく丁寧なコメントをくださる小島さん。小島さんのこの笑顔にメンバーも最初の緊張はほぐれ、安心して発表することができたようです。(私もその一人!)


「モヤモヤした」ということをシェアするだけでも意味がある


メンバー同士で男女不平等を感じた経験などを共有したあと、グループごとに発表。小島慶子さんにフィードバックをいただきました。

・職場の男性から可愛がられる対象として女性は40歳までだと言われていた。自身には娘が2人おり、娘には自然体で育てたいという思いがありつつも、彼女たちがこれからそういう場面に遭遇した時の対処法を教えるべきなのか、それを身につけないといけないのもおかしいと思うので難しいと感じている。
時間の中でグループの中では結論は出ず、とても難しくモヤモヤした。言語化するのは難しいけど、発信することが大事だと感じた。

・職場で男性が育休を取る時に「男性なのに?」という反応をしてしまった。女性側にも何かしらのジェンダーバイアスがあるということを自覚してびっくりした。

・専業主婦、ワンオペなど男女の役割分担を受け入れてきて、特にアクションもしてこなかった。

・幼い頃から男に負けるな、自立した女性であれという育て方をされ、結婚後働いている時も旧姓しか使ったことがなく、そういう自分に満足している。


小島さんより:

発信することの講座なので、結論がなくてもモヤモヤしたということを共有することが大事。「モヤモヤした」という内容が読む人の心に残るので、読んだ人が「自分ならどうするかなあ」などと考えるきっかけになります。

女性側は差別や決めつけをしていないという先入観がありますよね。私自身も過去に、ゲストの男性に「イケメンですね!」とか、モテるでしょとか、安易に言ってしまったことがあります。あるいは薄毛を話題にするなど、男性にはいわゆる”見た目いじり”をしても大丈夫という思い込みもありました。傷ついていた人もいるはず。セクハラ発言などは男性が加害側になることが圧倒的に多いのかもしれないけれど、だからと言って女性が何をやってもいいとか何も問題がないわけではないので、他山の石として我が身を振り返ることも大事だなと思いました。

ジェンダー平等の話をする時に大切なことは、みんな生きてきた時代が違うことを尊重すること。例えば「主人」という呼び方もそう呼ばないと摩擦が起きてしまう環境の人もいますし、夫婦は上下関係ではないので「主人」とは呼びたくないという方もいます。意見の違う人をやっつけるのではなく、与えられた条件の中で自分ができるアクションをする。他人の状況を想像することも大事だと思います。色々な意見がある中で、どうやったら「ジェンダー平等を実現する」というゴールに近づけるのか、より建設的な合意形成の方法を探ることが大事ですね。

 


「死角」「無意識」に気がつき、それを言葉にすることの大切さ


・家庭内ではジェンダーギャップは意識していなかったが、子供が生まれてからは父親がどこかに子供を連れて行くと「すごいね!」と言われる。

・仕事において、女性が嫌悪感を抱かないようなコンテンツを作りたくても、周りが子育てを経験していない男性ばかりですごくギャップのある環境だった。

小さい子供を連れていると、外で「お母さん」と呼ばれる。病院などでも大人には使わないようなタメ口で話されたりする。そういうことに対しては返事をしなかったり、子供以外に母親と呼ばれたくないと伝えるようにしている。

・甥っ子と姪っ子がいるが、プレゼントを考える時に男の子用・女の子用と考えてしまっている。世間の枠に当てはめずそれぞれが好きなものを贈るようにしている。

小島さんより:

日本語の大問題で、日本では他人の夫や妻を呼ぶ時に「ご主人・旦那様」「奥様」以外の言葉が「お連れ合い」くらいしかないですよね。パートナーという言葉だと結婚していないと思い込む人もいるので、結局「お連れ合い」以外の言葉がないので、ぜひミモレで新しい呼び名を作って欲しい(笑)。
これって男尊女卑がビルトインされてる言葉だよね? と話し合える相手であれば、一緒に考えてみるといいかも。
人は無意識の部分にはなかなか気がつかないので、他の人の話を聞いて初めて死角に気がつきます。色んな人との接点を持って、自分の死角に気がついて、それを言葉にするというサイクルが誰かを助けるということに繋がると思います。

グループワークの時間は10分。必ず1人1分は話し、最後にグループ全員で話し合う時間も作り、発表は2分以内。こういうタイムマネジメントが経験できるのも〔ミモレ編集室〕の勉強になるところです。境遇も年齢もバラバラのメンバーと顔を突き合わせて、自分の思いを語るという機会は、少し緊張するもののとても良い経験になると思います。

私自身、講義前は「ジェンダー不平等問題に全く関心がないわけではないけれど、きちんと考えている人に比べたら、私なんて足下にも及ばない。私には敷居が高いのではないか……」と、若干尻込みをしていました。私と同じような気持ちでいたメンバーも少なくなかったようです。そんな風に若干おそるおそる参加した私たち。小島さんが講義の中でおっしゃった「自分の経験値と自分の感情を照らし合わせて語ることが大切」という言葉にどれほど勇気づけられたでしょうか。

小島さんの強く、優しい言葉に背中を押され、それぞれのグループでたくさんの視点と経験が共有できました。

こんな体験が出来るのも〔ミモレ編集室〕ならでは。その熱量の一部を少しでも感じていただけたら嬉しいです。そして、いつかご一緒できることを楽しみにしています!

れいさん

元1期生のれいです。書く体力が戻ってきたかもしれないので、再入会しました。また気持ちを新たにがんばります。
インターネット上で生き生きするタイプ。地上でのコミュニケーションが苦手です。よろしくお願いします。


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