スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。
いつからかモノを買う時に自分に問うようになりました。
ちゃんと愛しているか、と。
10年後も愛を持っていられるか、と。
これは結構大事な問いです。
それはブランドの靴やバッグの時もあれば、鍋やバスタオルのこともあります。
人は生活の中で必然と何かを選択しているもので、その毎日の何気ない選択が今日のその人を作っていると思うと、なんでもいいやとは思えません。
食べ物も一緒ですね。
自分の体を作っていると思うとなんでもいいやとは思えない。
値段の問題もあります。
高価なモノも長く大事に使ったらそれはお金に変えられない価値を生み出すだろうし、無駄なものは100円だって惜しい。
だから自分の中で折り合いをつけて、“いい塩梅“のものを選びたい、と、いつも思っています。
その“いい感じ“が難しいのよ、となりますよね。
私も正解を知っているわけではありません。
そもそも正解なんてないんだから、自分が良ければそれで良し。
なのでこの連載ではあくまでも私の個人的な意見を綴ってみたいと思います。
うんうん、わかる〜! も良し。
そうかなぁ? 私は違うな〜、もまた良し。
大事なのはモノについて考えてみること、それをこれからの選択に生かすことだから、
そのきっかけになれたら嬉しいです。
第一回目はローファにしようと思います。
もちろん素敵だから買ったのですが、単純にローファをお勧めしたいわけではなく、私は何か新しいことに挑戦するときに新しい靴を買います。
子供の頃、毎年お正月に新しい下着と服を母が用意してくれました。
その服を着ると新しい年が始まり、自分さえ新しくなった気がしていました。
それに似ているのかもしれませんね。
新しい靴は、まだ私の知らない新しい場所へ連れて行ってくれるはず……
そんな願いも込めてこの連載が始まる記念にしたいと思います。
なんて、このローファを買う口実を探していただけかもしれませんがね。
いいんです、ストーリーは後付けで(笑)。
この靴を履くたびにこの新しい気持ちを思い出せるんだから。
それにこのHのロゴは背筋がしゃんとする一番のロゴかもしれません。
エルメスのローファー
おまけ
写真・文/福田麻琴
冒頭モノクロ写真/目黒智子
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