都心で過熱の一途をたどる中学受験戦線。2021年10月には中学受験をテーマにしたマンガ『2月の勝者』がドラマ化、注目を浴びています。中学受験、その過酷さはさながら親子で歩む修羅の道。

そんな時、頭に浮かぶのは「そもそも中学受験て、ほんとに必要……?」という疑問。
当記事は、リアルに基づく受験小説『天現寺ウォーズ』『御三家ウォーズ』の作者・佐野倫子が提案する、ちょっと一息つくための発想の転換法です。

 


中学受験、なぜ過熱?


圧倒的御三家合格率を誇る、中学受験産業の王者SAPIX。白金高輪校など複数の校舎でなんと1年生から6年生、全学年の募集を締め切っています(2021年9月現在)。つまり、当該エリアでSAPIXに通おうと思ったら、新一年生、つまり幼稚園年長で入塾試験を受ける必要アリ。

にわかには信じがたい状況の中学受験戦線。私立・国立中学校受験生は2015年から2021年まで7年連続で増加し続けています。その過熱の背景を考えてみましょう。

 

① シームレスな中高一貫教育を目指し、高校募集を停止する学校が増加。そのため学校の選択肢が多い中学受験が注目された
② 公立の内申制度に左右される高校受験を回避したいと考える層が一定数存在
③ 80~90年代の中学受験ブームを体験した世代が親になり、中学受験を考える家庭が増加
④ ゆとり教育への焦りや少子化、コロナ禍などさまざまなフェーズを経て、経済的に余裕がある家庭では教育に投資し、より良い環境を与えたいというニーズの高まり

そのような要因が合わさって、都心では中学受験ブームと呼ばれるほどになりました。しかし現代の中学受験は、どうやら旧来のイメージとは少し様相が異なるようです。

① スタートの低年齢化
② サラリーマン家庭の参戦が増加
③ 個人指導・家庭教師などの課金ルートが増加
④ 進度が速く、教材整理が必要なSAPIXの一強化

これらの結果として、親の負担増につながっていることは否めません。とくに子どもを一番近くで見守り、塾弁を作ったり、送迎したり、膨大な教材をファイリングし続ける母親の苦労はいかばかりか……。仕事なんかしていた日には、もはや完全なサポートは不可能。

そこで今一度、一緒に考えてみましょう。

「中学受験て、ほんとに必要?」「参戦しない場合のメリットって?」

 
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