9月10日、自民党総裁選に出馬表明した河野太郎ワクチン担当相。写真:Motoo Naka/アフロ

自民党総裁選に出馬した河野太郎ワクチン担当相が、首相になってもツイッターをブロックする意向を示したことが話題となっています。一部では公人がツイッターでブロックすることについて批判する意見もありますが、これについてはどう考えればよいのでしょうか。

 

河野氏は200万人のフォロワーを抱えており、政界ではトップクラスです。河野氏は批判的なコメントを寄せるアカウントについては、ツイッターが備えているブロック機能を使って、自身の投稿を閲覧できないようにしています。これに対して、政治家が批判的な人の意見をブロックするのは良くないといった批判の声が一部から出ていました。

今回、総裁選の出馬に際して、あらためてブロックの機能は使い続ける方針を示したわけです。

一般論で考えれば、ツイッターというのは民間企業が提供するサービスのひとつに過ぎず、そもそも公的なものとは言えません。こうした民間企業のサービスにブロックという機能がある以上、利用者がそれを使うのは自由という解釈が成り立ちます。

しかし米国では、これとは異なった見解が司法から示されています。

トランプ前大統領は、自身のツイートに対して批判的なコメントをした人をブロックしていました。こうした行為は言論の自由の侵害にあたるとして利用者らがトランプ氏を訴えるという裁判があり、連邦地裁は訴えを認める判決を出しています。高裁でも同様の判決が出され、ブロックは違憲との司法判断になりました。


 もっとも、その後、トランプ氏のアカウントが永久停止となったことから、連邦最高裁は訴えそのものが意味をなくしているとして「無効」の判断を下しており、最終的な決着は付いていません。

米国の司法は少なくとも2回、ツイッターを公共の言論空間と認識したということになりますから、ツイッターのブロックは行うべきではないという意見も強くなっているのですが、この判決のニュアンスは少し異なるようです。

控訴審の判決では、ツイッターについて公共の空間と指摘していますが、同時に、トランプ氏は大統領になって以後、ツイッターを統治ツールとして継続的に使っているとして、「トランプ氏のアカウントは公共的な性格が強い」と指摘しています。

 
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