ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考えます。39歳で同級生婚の二人の妊活、そして養子縁組という決断までを伺いました。

園子さん(48歳)、太郎さん(48歳)。中学でクラスメイトだったふたりは、園子さんがバツイチになったアラフォーで再会して結婚した、同級生カップル。


子供を産むことをあきらめても、育てることはあきらめなくていい


39歳で同級生の太郎さんと再婚したときから、「年齢的にもしかしたら子供ができないかもしれない」と思っていたという園子さん。それでも絶対に子供が欲しかったため、結婚前に「私は養子縁組してでも子供を持ちたい」という意思を、太郎さんに伝えてありました。

 

さかい:なぜそこまでしてお子さんが欲しいという気持ちが強いのですか?

園子さん:私は3人姉妹の次女なんですが、姉と妹の子供を見ていて、やっぱり次世代を育てるっていいことだなあと感じていて。それに、私たちには余力があると思うんです。世の中には、当たり前に愛されていろんなチャンスに恵まれるという環境が与えられない子供もいるけれど、私たち夫婦にはそれを与えてあげられる力がある。そうしたら、私は子供を育てるという機会をもらえるし子供は愛される経験ができて、みんなハッピーじゃないかなと。

結婚2ヶ月後に不正出血があり、子宮筋腫の手術を受けた園子さんは、半年間は妊娠することを禁じられたため、「また出産が後ろ倒しになってしまう」と思い、太郎さんに養子縁組のことを切り出しました。

園子さん:そうしたら彼が、「まずは自力で妊活にトライしてみよう。ダメだったら、そのときは養子縁組しよう」って。だから、半年後に子作りを解禁したあと、1年間という期限を区切って妊活を開始。卵子も2回採取して、2年間の卵子凍結をする間に、養子縁組のNPOなどについて調べるようになりました。

元々、園子さんが養子縁組を考えるようになったのは、園子さんの妹の夫の存在が大きかったと言います。韓国生まれの彼は幼い頃、母親に孤児院に連れて行かれてフランス人家庭に引き取られ、愛情をたくさん受けて育ったそう。

園子さん:その彼が妹と出会って結婚して、妹が幸せそうにしているのを見ると、彼に感謝が湧いてくるし、彼の育てのご両親のことも尊敬しています。もちろん、太郎さんの血を残してあげられたらいちばんよかったと思いますが、子供を産むことをあきらめることと、育てるのをあきらめるのはイコールじゃないと思うんです。

しかし、日本ではまだまだそこまで一般的ではない養子縁組を、家族に受け入れてもらうには時間がかかりました。

妊活をあきらめ、養子縁組を考えていることを太郎さんの両親に伝えた際、義父は「聞きたくない」と感情的にはねつけたのです。

園子さん:想像以上の強い拒絶反応だったので、その後4年くらいは再び言い出す勇気が持てませんでした。でも家族を説得するのは大事だと思っていたので、2年前に会食の場を設けて、「やっぱり養子縁組したい」と。今度は太郎さんが、「養子縁組をします」と言い切ってくれました。

そうすると、義父は「素晴らしいじゃないか。お前たちのところに来る子供たちは、私の孫になるんだ」と手放しで受け入れてくれたそう。

園子さん:あまりにあっさり受け入れられたので、太郎さんが何か根回ししたのかとも思いました(笑)。実際は、1回目に条件反射で養子縁組を反対してしまったことを後悔していて、「あんなことを言ってしまったけれど、次に言って来たらこう言ってあげよう」って考えてくれていたみたい。

「子供を育てたいなら、方法はいくらでもあるはず。目標って、状況によってフレキシブルに変更できるものだから、ゴールや手段は、いくつあってもいいんじゃないかしら」。そう話してくれた園子さんですが、そんなふうに考えられる余裕があるのも、アラフォーになってからの晩婚夫婦だったからなのではないでしょうか。

その後、養子縁組にはいくつものハードルが待ち受けているのですが、そのお話は次回に続きます。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 


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