こんにちは。週のまんなか水曜日、いかがお過ごしですか。
東京はすっかり涼しくなってきました。

季節の変わり目に読みたくなるのは、杉浦さやかさんの『おたのしみ歳時記』です。


思えばこのブログを始めた頃はまだまだ寒い1月でした。季節はめぐってもう9月も終わり間近。あっという間です。


母の介護をしていた日々のことをテーマに、これまでいろんなことを書いてきました。

「できます」のアピールタイムになってしまった介護認定のこと、訪問看護師さんやレンタルの車イスにお世話になった介護サービスのこと、30歳のときに取った介護休業のこと。

介護保険制度が出来て、今年で21年が経つそうです。制度と現実のはざまで歯がゆさを感じることもありましたが、介護保険制度には色々とお世話になりました。「介護離職」や「介護と仕事の両立」が話題にのぼるような世の中になっていたからこそ、声をあげやすかった場面もあったように思います。

そういう「制度」や「世の中」に背中を押してもらったところは少なからずあります。


でも、1番支えてもらっていたのは、私の身近な半径にいてくれた人達です。

お散歩中に見かけた階段。らせん階段って何となくドラマチックで好きです。


母と私が住んでいた家は、古い4階建てのマンションでエレベーターは無く、我が家はその3階に住んでいました。

病院の看護師さんやケアマネさんからは、「動けるうちに引越しをしたほうが良いのでは」と勧められました。

たしかにエレベーターがあった方が楽なのは目に見えています。壁に手を付きながら、そして私が後ろから支えながら、階段を上り下りしていた母。
「せめて手すりがあったらいいのにな……」
母も私も言葉になかなか出せませんでしたが、そう思っていました。

介護のサービスの中に、手すりを付けるなどの項目はあります。でも賃貸の場合、そんなことを勝手にするわけにはいきません。ましてや階段は皆が使う場所です。


あるとき、マンションの大規模な改修工事のお知らせが貼り出されました。大家さんは母と年齢も近く、30年以上住んでいたため、家賃を支払いに行くと世間話に花が咲くこともしばしば。(家賃も引き落としではなく手渡しだったのです。昔ながらですよね)母が病気をした後も、それまでと変わらない接し方でいてくださったことを私は嬉しく思っていました。


母は、大家さんにこんなお願いを伝えに行きました。
「階段に、手すりを付けてもらえませんか…?」
工事のタイミングで検討してもらえないか、お願いをしたのです。横で聞いていた私はびっくり。もし付けてもらえるとしても費用は?どうするの、お母さん。

すると大家さんは、「付けましょう!」と即答。

しかも工事の日には、業者の方が、階段の左右どちら側に手すりを付ければよいか確認に来てくれたのです。勝手に答えてしまってよいのか躊躇っていると、「大家さんから、ここの部屋の人に聞いてみてって言われているから大丈夫です」と……。

後ほど大家さんのもとへご挨拶に行くと、「いいのいいの。小黒さんのところだけではなくて、あればみんなも使うんだから。私も使うし」と。本当の手すりは、大家さんの優しさでした。からっとした口調に本当に心から感謝しました。

「言って良かった……。頼んでみよう、ってずっと思っていたの。緊張した」と、母。エレベーターのある家に引越しなんて無理だし、とそこで思考が停止していた私と違って、母はちゃんと、自分で声を上げてくれました。


病気、事故、トラブル、悩み、問題、私は何かが起きるとつい、こういう時はどうするべきか、どういう方法が正しいのか、と「正しい答え」を探そうとしてしまいます。

でも、きっと本当は、自分の手元や足元を見て、顔を上げて周囲をよく見て、きちんと声を上げてみる。そうするとその中で、答えや糸口が見つかるのかもしれません。周りの人を信頼して相談することの大切さを、私は母から教わりました。

(もちろん介護の場面の多くのことはそう簡単にはいかないので、制度や仕組みを利用することも大切だと思いますし、これから先、介護を取り巻く環境がもっと充実することを願ってやみませんが)


時にはちょっと遠くの顔の見えない相手に相談したり、話を聞いてもらうことも、解決策の一つでした。普段接している人達には話しにくいことも、案外楽に言えたりするんですよね。
そんな風に自分の困っている状況を言葉にしてみる練習をして、いざ最終的には顔の見える相手に相談したこともありました。

そうやって少しずつ自分の半径を広げていくと、肩ひじを張らずに助けあえる関係性が生まれてきました。正確には助けてもらってばかりだったので、これから恩返ししていきたいな……!

それでは最後に、9月に読んで良かった!本を。

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いつも読んでいただきありがとうございます。次は、10月最初の土曜日に♪