太りたくないなら食事は「朝型」にすべし

太りたくないなら食事は「朝型」にすべき理由。同じものを食べても朝と夜で肥満に差が出る?_img4
 

朝から昼にかけての食事と夜の食事で、血液中のブドウ糖とインスリン量を調べた研究がありますが、いずれも朝から昼にかけての食事の方で低い値が認められました。これらの結果は、夜の食事ではブドウ糖耐性(血糖値を正常に保つためのブドウ糖処理能力)の低下が出やすいことを意味しています。

また被験者に低炭水化物食を食べてもらい、同様の研究をすると、食事を摂る時刻が朝の8時の場合に比較して、夜の8時や夜中の0時の場合では、やはり高血糖と高インスリンが見られました。このことから、低炭水化物の食事によって高血糖を防止するより、食事のタイミングの調整の方が重要であろうと考えられます。

また、睡眠時の、脂肪酸化(脂肪を材料にしてエネルギーを産生すること)について調べた研究もあります。

朝食、昼食、夕食、夜食をそれぞれ、8時、12時30分、17時45分、22 時に摂ると設定し、2回の施行を行いました。1回目は、朝・昼・夕食を摂り夜食は摂らずに、2回目は朝食は摂らずに昼・夕・夜食を摂りながら、代謝測定装置で呼吸商(1分間当たりに消費される酸素量に対する二酸化炭素排出量の比)、エネルギー消費あるいは睡眠、深部体温などを調べました。

その結果の分析から、夜食を摂る群は摂らない群に比較して、睡眠時の脂肪酸化が抑制されていることがわかりました。寝る前に夜食を摂ると、脂肪ではなく食事中の炭水化物からのブドウ糖を材料にエネルギー産生を行うことがわかっており、そのことから脂肪は使われず夜食が太りやすいことを説明できるのです。

さらに、朝食と夕食での食事誘発性熱産生が異なるという要因もあります。同一の食事を摂取しても、夕食に比較して、朝食では熱産生がさかんであり、またエネルギー産生の基質(材料)として、炭水化物より脂質が利用されることが知られています。やはり朝食は夕食に比較して、肥満を起こしにくい時間帯の食事であるといえるでしょう。

 

 

著者プロフィール
柴田重信さん:
早稲田大学先進理工学研究科電気・情報生命専攻薬理学研究室教授。1953年生まれ。1976年九州大学薬学部薬学科卒業。1981年同大大学院薬学研究科博士課程修了。薬学博士。早稲田大学人間科学部教授などを経て、2003年より現職。日本時間栄養学会会長などを務める。監修書『食べる時間を変えれば健康になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、共著書『Q&Aですらすらわかる体内時計健康法-時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康-』(杏林書院)など多数。

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『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』
著者:柴田重信 講談社 1100円(税込)

締めのラーメンや寝る前のおやつは身体に悪い……なんとなくわかっている「時間」と「食事」との関係を、実験を通して科学的に解明していく「時間栄養学」。その知見を基に、健康に良い食物摂取時間、年齢別のベストな食物摂取時間、薬や運動が効果を発揮する時間など、体調管理に役に立つさまざまな情報を紹介します。ダイエットの参考にもなる一冊です。



構成/さくま健太