世界中で相次ぐ大規模な山火事、50℃を越える異常な熱波、そして日本でもたびたび被害をもたらしている豪雨……。ここ最近の自然災害を見ていると、“数十年に一度”と言われていた異常気象が毎年のように起こっていることを実感します。これらの異常と密接な関係にあると言われているのが「地球温暖化」です。
Mr.Childrenの櫻井和寿さん、音楽家の坂本龍一さん、音楽プロデューサーの小林武史さんの3人によって作られた、環境をよくする事業に融資を行う非営利団体「ap bank」。その監事を務める田中優さんは、悪化の一途を辿る地球温暖化問題に警鐘を鳴らし、アクションを起こし続けてきた一人。新著『地球温暖化/電気の話と、私たちにできること』の中では、田中さんが2013年から実践する電力の自給自足生活や、私たち一人ひとりが地球のためにできることを教えてくれます。おうちでできる二酸化炭素排出量削減のアイデアと、電力を自分でまかなう田中さんの「オフグリッド生活」を、本書から少しだけ覗いてみましょう。

 


家電製品は古い品を後生大事に使わない


家庭の二酸化炭素はどこが排出しているかと言うと、半分が家電製品などに使う電気なんです。その次が自動車のガソリンです。ぼくたちの暮らしの中で圧倒的に二酸化炭素を出しているのは「電気とガソリン」だということがわかります。

 

ガソリンのほうは、燃費のよい自動車に乗り換えるということで達成できます。または公共交通機関をなるべく利用するようにするというのも有効です。

じゃあ、電気の消費を何とか抑えようと考えた時にはどうしたらいいのでしょうか? 下のグラフが、日本の各家庭の電気消費の分類です。

まずすべきことは、熱を電気で作らないこと。そして「オール電化をやめること」です。オール電化はものすごく効率が悪い。だって、発電所で化石燃料を燃やして、その熱を使って3分の1がやっと電気になるんです。その電気を使って熱を作るんだったら、熱を直接燃やせばいいはずです。そして残った部分を見てみると、家庭の“消費の四天王”は、冷蔵庫、照明、テレビ、エアコンです。5つ目は温水器やエコキュートですね。

それともう一つはIT、コンピュータ関係です。これは対策が簡単です。スイッチ付きコンセントを買ってきて入れてください。必要になる時にスイッチを入れればいい。実はこのAVとITのほとんどの消費量が「待機電力」で、家庭の電力消費の9%を占めているんですよ。あとは給湯器を使わない時に消しておくこと、エアコンを使わない時季はコンセントを抜いておくことなどです。

そして“四天王”の次に電力消費するものとして「暖房便座」などがくるわけですが、実はこれらの家電分野で日本はものすごく省エネが進んでいます。1995年を100として比べると、何とすべての品物が50%以下まで減っているんです。特に減らしているのが冷蔵庫です。なんとマイナス97%、1995年と比べて今では3%しか消費をしません。これほどまで省エネが進んだら、古い品を後生大事に使ってはいけない。

買い替えてから5年も経たずに、1年4か月ほどで買い替え費用を安くなった電気代で取り戻せます。だから、省エネ以前の古い冷蔵庫については直ちに買い替えた方がいい。でもそれ以外の品物は「直ちに」ではなくて、買い替え時に省エネ製品を選ぶ、これが大事なことになりますね。
 

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家庭における消費電力量の内訳と、日本の部門別二酸化炭素排出量の割合
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