――お母様が闘病の末に亡くなられて。その後、しばらく喪失感が拭えなかったとありました。親との死別から浅田さんはどう立ち直られたんですか。

しばらく誰とも会いたくないなという状態だったんですけど、当時、犬を2匹飼っていて。犬がいると、どんなに気持ちが沈んでいても、お散歩に連れていってあげなきゃいけないし、ご飯もあげなきゃいけないじゃないですか。そうやって面倒を見ているうちに気づけば時間が過ぎて、気持ちが癒されたところはありますね。

 

ただ、そのうちの1匹も17歳で亡くなってしまって。私は辛いとき、この子たちに助けてもらった。だから、今度は私がこの子たちの力になりたいと思って、殺処分寸前だった子を1頭引き取ったんですね。その子は前の飼い主から虐待を受けていて、最初はご飯をあげるにも、私の姿が見えなくなってからでないとゲージから出てこないくらい人間に恐怖心を持っていたんですけど、少しずつなついてくれて。ある日、私が帰ってきたら、尾っぽを振って迎えに来てくれたんです。それに私は涙が出て。これだけ傷ついた子もまた人を信用することに驚いたし、犬ってすごいなと思った。

そこから動物が殺処分されている現状に対してなんとかしたいという気持ちがどんどん大きくなって、いろんな動物愛護の活動に参加するようになりました。今思えば、母を失ったことによってできた心の穴をそうした活動が埋めてくれていたところはちょっとあるかもしれません。

 

大切な人がいれば、友達は多くなくていい


――今回、浅田さんの本を読んで感じたのは、ひとりで生きることをどう楽しむかでした。浅田さんは20代のときに結婚と離婚を経験されました。その後、いろんな恋をされたけれど、2度目の結婚を考えることはなかったですか。

ないと思っていましたね。最初の結婚も若かったからできたという感じで。私の父親は「飲む、打つ、買う」をすべてやっている人で、そういう父親を見てきたこともあって、自分の中で絶対に男性を信用できないところがあるんですね。だから、恋はしても、人生を共に歩むのはいらないなって。一緒に住むのとか、今更しんどくないですか(笑)。

――そうは思いつつ、将来このままずっとひとりだったらどうしようという不安に駆られることはよくあります(笑)。

だって、死ぬときは結局ひとりじゃない? たとえ家族がいても、突然の事故とかで亡くなったら誰にも看取られないまま逝ってしまうこともあるだろうし。この先自分がどうなるかなんて深く考えてもわからない。だからあんまり考えたことがないなあ(笑)。

――孤独を感じることはあんまりないですか。

それが意外とないんですよ。家に帰ったら犬もいるし。犬がいて、友達がいて、仕事があってでもう生活がまわっちゃうから。もともとあんまり人とべったりするタイプでもないんですよ。私と希林さんの共通点は、そうは見えないんだけど、人見知りなところ。仕事相手と仲良くはするけど、ご飯までは行かないタイプ。そういうところが似ていたから、お互い気を遣わずに付き合えていたんじゃないかなと思うんですよね。だからそんなに多くないです、友達。