≪ただいま先生≫

「ほかの同年代の方のように、これから先、何年も……という訳にはいかないかもしれません」

病院でそう言われてから、そろそろ2年が経とうとしていました。

母と私はまじめに病院へ通い、検査をし、現状維持を確認してはお薬を処方してもらう、という一連の作業を粛々と続けていました。何か治療や薬が変わるわけでもなく、何かが良くなるわけでもなく、すごく悪くなるわけでもない日々がしばらく続いていました。その間に、消化器内科の担当主治医は異動で交代していきました。

母の変化をひたひたと感じてはいましたが、淡々とした通院を繰り返していました。


「お母さん、S先生のところに戻りたいな」

母がそんなことを言い出したのは、暮れが迫った12月のことでした。もともとかかりつけ医としてお世話になってきたS先生。脳梗塞になったときも、S先生のもとから出発したのでした。

S先生の診療所には、血圧のお薬などの為にたまに通っていましたが、肝臓については大きな病院で診てもらっていたため、報告をするだけになっていました。

「お母さん、S先生に診てもらいたい」

母がなぜ急にそんなことを言い出したのか、理由は何も言いませんでしたが、なぜか私もすぐに「そうしよう」と返事をしました。


街の診療所であるS先生の元には、もちろん大きな病院のような設備はありません。血液検査だって、その場ですぐには結果が出ません。でも、あのときの私はなぜか母の意見に即賛成しました。もしかしたらずっと、私もそう思っていたのかもしれません。

S先生はもともと消化器内科が専門です。そして何より、母のかかりつけ医なのです。


母と一緒に、久しぶりにS先生の診療所へ行きました。母は、腹水で大きく膨らんだお腹のことを、
「ちょっと太っちゃったみたい、なんだかカエルさんみたいでしょう」
と笑って説明しました。
「そうだね、お正月においしいものを食べ過ぎ注意だね」
先生は笑ってそう言いました。

「先生、私ここに来てもいいですか。私、先生に診てもらいたい」

「うん、もちろんだよ。そう言ってもらえてね、すごく嬉しいよ。大丈夫。僕に任せて」

母は「良かった」とつぶやきました。その顔はなんだかすごく安心した表情に見えました。看護師さんも、受付の方も、笑顔で見送ってくれました。先生は、私の目を見て頷いてくれました。


ただいま先生。また、よろしくね。よいお年を。

2017年がもうすぐ終わろうとしていました。

 


●最近のこと

週のまんなか水曜日、いかがお過ごしですか。

最近、ミモレブロガーの梅津奏さんによる新しい連載が始まりましたね!その名も「今日のモヤモヤ話」。
ちょうどこんな本を読んでいたときに連載のことを知り、私にとってはなんだかとてもタイムリーなタイミングでした。


何かを名乗れるほど、何かを論じられるほど、胸張って主義主張を表現することは出来ないけれど、素直に「うん」って言えないことって沢山あるなぁって思うんです。
そんなモヤモヤを誰かと共有して井戸端会議できたら、きっと新たな糸口が見つかるんじゃないかな?と思っています。みんなのモヤモヤを、奏さんがどんなふうに書いてくれるのか……とっても楽しみです!

会うといつもごきげん。二人の共通点は、よく読み、よく食べる!です。奏ちゃん、応援しているよ~♪

それでは、よい一日をお過ごしください♪