フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。

 

ひょんなことからワインエキスパートの試験に挑戦しています。
飲食業や、お酒を扱う職業の方たちはソムリエ試験を受ける資格があり、それ以外の人もワインエキスパート試験を受けることができます。
昨年、知識を問う一次試験は、短期集中の突貫工事で何とかパスしたものの、4人に3人が受かると言われている、二次のテイスティングで残念な結果に。

 

好きな割に強くはないお酒。
普段グラスで1〜2杯、好きなタイプのワインばかり飲んでいたツケ、なのでしょうか。
マークシートに慣れていない、グラスに水滴が残っているほど冷えているものがあった……などなど、言い訳材料がないわけではないのですが、それもこれも、結局は勉強不足、経験不足、準備不足が原因なのは明らかで。
テイスティングは、知識と違って、にわか勉強では太刀打ちできませんでした。とほほ。

昨年からよちよち頑張ってます。

かく言うにわか勉強のほうも、面白いもので脳みそは少しずつ、何十年ぶりの勉強に追いついていけるようになってきて、「若い頃ほどじゃないけど、今日はまだやれるぞ」と思っているのに、疲れ目と腰痛で、体の方がついて行けなくなるという、年相応のとほほな出来事もありましたが。

それにしても、ワインを表現する言葉は興味深いです。
漫画「神の雫」で主人公が父親から仕込まれた様々な香りの中に、「ベルトの革」とあって、驚いた方も少なくないかもしれません。しかも、ちょっと、美味しくなさそう(笑)。

ですが、赤ワインの選択肢には、「生肉」「乾いた肉」「なめし皮」といったものが実在します。練習を重ねるうちに、いかにもジューシーなステーキが合いそうな「生肉」感、「鉄分」などの香りを感じとれるようになるから不思議です。

赤だと他にも、「土」「腐葉土」「きのこ」「樹脂」といった言葉上はあまり美味しくなさそう(笑)なものから、「紅茶」「コーヒー」「チョコレート」といった実に美味しそうなもの、「黒胡椒」「ナツメグ」などのスパイス、「バラ」「すみれ」「牡丹」などの花、などがあります。

白だと「石灰」「火打ち石」「貝殻」といったミネラル感や、「バター」「トースト」などのやはり美味しそうなもの、「白胡椒」「コリアンダー」「丁子」「シナモン」といったスパイスや、ナッツ類、赤とは違う花の選択肢もあります。

こんなシートで練習しています。

もちろんフルーツでも表現するのですが、白ワインの選択肢の一つ「マスカット」以外、ぶどうはありません。
白なら、柑橘、青リンゴ、りんご、洋梨、花梨、白桃、アプリコット、パイナップル、メロン、パッションフルーツ、バナナ、マンゴー、ライチ……などから選び、赤なら、いちご、ラズベリー、ブルーベリー、カシス、ブラックベリー、ブラックチェリー、干しプラム、乾燥いちじく……などから選びます。

他にも、赤ワインの清涼感や青みを表すために、メントール、ローリエ、杉、針葉樹、ユーカリ、ピーマン、などもあって、杉や針葉樹を感じるものは冷涼な土地で育ったぶどう、ユーカリやローリエは、スッとした中にもどこか甘やかさを感じる、温和な土地で育ったぶどう、と判断して、産地を絞っていく。

こうした香りの成分が産地の気候や土壌、ワインの作り方と密接に関わっているところが(ようやく、そのことが感じられるようになってきたことが)、とても面白いです。

ところが、こうした具体的な選択肢はまだ選びやすい方で、個人的に悩ましかったのは、「脳内変換」が必要な抽象的な表現でした。
その辺りの言葉の悩ましさ、面白さについては、長くなりましたので、また来週、お話しできればと思います。

ナパバレーのワイナリーロケ、最高でした!

 

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