「何年も学校で勉強したのに話せない」「日本語なまりの発音だと通じない」「文法や単語は知っているのに話す時に浮かんでこない」──英語を話せない多くの日本人はこのようなネガティブイメージを持ってしまい、結局英語で話すことをあきらめがち。でも、発想をちょっと変えるだけで、上達を阻んでいた最初の壁を軽々と飛び越え、一気に話せるようになるそうです。

そのコツを伝授するのが、英会話講師・ジュリアーノ熊代さんの著書『have do getで英語は9割伝わります! とっさの英語に強くなる! 魔法の万能3動詞』です。「日本人は世界一英語に向いている」と主張する著者が、日本人のポテンシャルを考慮した上で編み出したメソッドの数々は学習法というよりまるでコーチング。ふむふむと頷きながらもやる気がわいてくるという不思議な魅力にあふれています。様々な英語学習法を試しては挫折してきたという、まるで読者代表のような「ゆかりさん」という女性との対話形式で進むレクチャーもわかりやすく、すんなり頭に入ってくるでしょう。

今回は、英語への恐怖心を軽々と払拭してくれる本書の中身を一部ご紹介します。

 

日本人は世界一英語に向いている


ジュリアーノ熊代先生(以下先生):私たちは日常生活で非常に多くのカタカナ言葉を使いますよね? チケット、スクリーン、カルチャー。実は全部合わせると、3000もの単語を暗記せずとも知っているんです。そして日常会話に必要な英単語数は2000と言われていて、とっくにクリアしています。生活の中で英語を話すわけでもないのに、みんな不自由なく英単語を使っている。こんな国、日本だけですよ。

 

ゆかりさん(以下ゆかり):……確かに「カタカナ言葉」って考えると、けっこう使ってますね。じゃあなんで実践だと出てこないんだろう。

先生:英単語とカタカナ言葉がリンクしてないからです。カタカナ言葉が日本語として脳内で確立していて、英語と結びつかないんです。

ゆかり:どういうことですか?

先生:例えば、「輸入」「展示」「市場」「復讐」を英語にすると?

ゆかり:いやいや難し過ぎますよ。知らないです。

先生:インポート、ディスプレイ、マーケット、リベンジ。

ゆかり:……知ってる!

先生:こんな風に「ディスプレイ」と英単語そのものを言われるとわかるけど、「展示する」を英語で言おうとすると思いつかないわけです。その2つの言葉がつながってないので。

ゆかり:それってどうやったらつながるんですか?

先生:カタカナ言葉を見聞きする度に「これ日本語だと何だろう?」と考えることです。

ゆかり:さっきの「ワースト」は日本語だと? 最低、とかですか?

先生:そうです。では「最低の彼氏」は英語で言えますか。

ゆかり:えー、ワースト……

先生:ボーイフレンド。

ゆかり:知ってた! 確かに「ボーイフレンド」って言われるとわかるけど、日本語からは行きつかないわけですね。でも、これって所詮カタカナ言葉で本物の英語じゃないですよね? 和製英語は通じないって聞きましたよ。

先生:確かに「サラリーマン」など通じない言葉や「テンション」のように意味が変わってしまった言葉もあります。しかし全体の数に比べると誤差レベル。そしてまず目指すのは「キャッチボール」です。何か言葉を思いついたら、間違いの可能性があっても言ってみたほうがいいんです。

ゆかり:でも「その英語、通じない!」とか、あちこちで聞きますよ。テレビでも見ました。3000語知っていても、使えない言葉が大半なんじゃないんですか?

先生:その誤差レベルの話を、繰り返しネタにしているだけです。「その英語、通じるよ」だと、人は興味を持ちません。「その英語、通じない! 使えない! 日本人は英語ができない!」と言わないと、だれも興味を持ちません。そのせいで「語彙力が足りない」と思い込む人がこんなに増えてしまった。本当は3000語も知っているのに。

ゆかり:そうだったんですか……でも正直まだちょっとピンときません。

先生:「あなたは本当はすごい人ですよ」と急に言われても、信じられないですよね。これから英単語を日常生活の中でちょっとだけでいいので、意識してみてください。生活に溶け込んでいるカタカナ言葉の数に驚くはずです。それを見聞きする度に、日本語とつなげてください。それだけで使える単語がどんどん増えていきます。