このところガソリン価格が異常な水準まで高騰しています。ガソリン価格は、あらゆる物価を象徴する指標とされ、ガソリン価格が上がっているということは、他の商品の価格も上がる可能性が高いことを意味しています。なぜガソリン価格が上がると、食料品など他の商品も値上がりするのでしょうか。

 

当たり前と言えば当たり前の話ですが、ガソリンは原油から作られています。日本国内のガソリン価格は基本的に原油価格に連動する仕組みになっており、ガソリン価格が上がったということは原油価格が上がることとイコールになります。

原油は、1年ほど前までは1バレル(バレルとは原油取引によく使われる単位で、1バレル=約160リットル)当たり40ドル前後で取引されていましたが、ここ1年で急激に値を上げ、現在では1バレル=80ドルを突破するなど、1年で約2倍に高騰しました。その結果、ガソリン価格も次々と値上がりしている状況です。

石油はガソリンの原料でもありますが、それ以外にも石油火力発電の燃料や工場の熱源、プラスチック類の製造など、身の回りのあらゆるところに使われていますから、石油の値段が上がると経済に大きな影響を与えます。原油価格は専門的な経済ニュースでは報道されますが、日常的に多くの人が気にしている指標ではありません。一方、ガソリン価格は一般ニュースで報道されますし、ガソリンスタンドでは目立つように価格が張り出されていますから、クルマに乗らない人でも価格の動きについて見聞きしているはずです。

つまりガソリン価格というのは、専門的過ぎる原油価格の代わりに、石油の値段がどう動いているのかを示すバロメーターというわけです。

では、ガソリン価格が上がる(つまり石油の値段が上がる)と、どのようなことが起こるのでしょうか。もっともイメージしやすいのは電気料金やガス料金の値上げでしょう。

日本の火力発電の大半は石油ではなく天然ガスを燃料としていますが、多くの天然ガスは原油価格と連動しますから、原油が高くなると電気料金が上がります。また家庭で使うガスは、都市ガスの場合には天然ガスが、プロバンガスの場合にはLPG(液化石油ガス)が使われており、原油価格の影響を直接受けることになります。すでに電気料金やガス料金の値上げが行われていますから、気付いている人も多いと思います。

 
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