群馬県の山本一太知事が、都道府県の魅力度ランキングで同県が44位だったことに対して「法的措置」を検討すると発言したことが波紋を呼んでいます。都道府県ランキングについては以前にもこのコラムで取り上げたことがあるのですが、なぜ知事ともあろう人が、ただのランキングに対してここまで抗議するのでしょうか。
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民間の調査会社である「ブランド総合研究所」は毎年、都道府県の魅力度ランキングを公開しています。この会社は以前から各種ランキングを公表しており、メディアでもよく取り上げられます。
都道府県ランキングは各県の魅力を順位付けしたもので、調査会社が直接評価したものではなく、消費者に対してアンケート調査を行い、その結果を元に順位を決定しています。
群馬県は昨年は40位でしたが今年は順位を4つ下げて44位となりました。この結果に対して山本知事は激怒し「根拠の乏しいデータで群馬を低く位置づけるのは、県民を侮辱している」「法的措置も検討する」と発言。これに対して調査会社側は「根拠は示している」と強く反発しています。
実はこのランキングについては、栃木県知事もクレームを付けていました。昨年のランキングで栃木県は最下位の47位に転落してしまったのですが、これに怒った福田富一知事は「納得できない」「直談判する」と発言し、実際、同社に乗り込み、意見の申し入れを行っています。
以前のコラムでも指摘したのですが、ランキングの結果についてクレームを付けるというのは、基本的に意味のない行為です。なぜなら、ランキングというのは絶対評価ではなく「順位」という相対評価であり、自身の県の順位が上がれば、別の県の順位が必ず下がるものだからです。つまり順位が不当だと抗議しているということは、別の県の順位を下げろと要求していることに他なりません。
山本知事は「統計学的にみても信頼度が低く、杜撰なものだ」と批判していますが、「杜撰な調査なので、こうしたランキングはやめて欲しい」と主張するのならまだしも、ランキング結果に抗議するという内容である限り、他の県を下げるよう要求したと見なされても仕方ないでしょう。
確かにランキングが低く出た県としては面白くないという感情があるかもしれませんが、自治体のトップともあろう人が、公務として民間の調査会社に直談判に行ったり、訴訟をチラつかせてクレームを付けるというのは、あまりにも度が過ぎます。
では、なぜ複数の知事がランキングに対してここまでの感情を示すのでしょうか。それは日本の地方自治のあり方と密接に関係していると筆者は考えます。
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