あなたが変えられるもの、変えられないもの

元主婦→62歳でホテル社長に!セカンドステージ開拓者が説く「変えられるもの、変えられないもの」_img0
 

私は、子どもという存在を前にして初めて自分の限界に気づくことができました。それまでは可能性だけを追いかけていたから、頭の中には、仕事と育児を両立している自己イメージができていたんです。だから、生まれてきた娘を腕に抱くまで、自分ではどうにも変えることのできない「限界」に気づけなかった。

 

娘を産んで自分の限界に気づいてからの私は、できることとできないことをしっかり考えて動くようになりました。本音を言えば、子どもとの日々は心から幸せだったけれども、キャリアには未練がありました。

でもね、私が結婚した相手は、外交官で3年ごとに海外を転々とする生活です。この人に帯同する私を雇ってくれるところなんて、なかなかないでしょう。それでも、キャリアを求めるなら、離婚するしかありません。あのときは、離婚だけが限界突破の鍵だったと思います。

では、離婚してシングルマザーになるのか? 当時の私にはそんな自信はありませんでした。だから、キャリアを諦めた。この経緯を元夫のせいにすることは簡単なのですが、専業主婦として生きることは自分が望んで決めたこと。だから専業主婦業を全うしようと思ったし、前述したように、専業主婦をやり切ることが私のキャリアになると考えたかったのです。キャリアへの思いを断ち切るために、それは必要なことでもありました。

このように、自分の限界は、意識しないとなかなか見えづらいものです。自分の力で変えられるものもあれば、どうしたって変えられないものもある。変えられるものであっても、変えられる限界があります。そこを冷静に把握しておくこと、これが、的確な判断や納得のいく決断の支えになります。