薬が「正しい」「間違っている」という判断には、実はとても高度な知識が要求されます。その判断は薬が「効いているか」あるいは「効いていないか」といった単純なものではないことがほとんどです。


常用薬は医師の高度な技量や知識が重要


例えば、市販の頭痛薬ならそれでいいのかもしれません。頭痛が良くなったか、良くなっていないかで、「正しい」薬かを選択できる可能性が高いと思います。また、頭痛がして一度だけ薬を飲むという場合には、仮に間違った薬の選択をしてしまったとしても、その影響は1日以内になくなるでしょう。

もちろん、それでも間違った薬の投与が後遺症を招くこともないわけではありませんので、適当に薬を飲んでも良いというわけではありませんが、ただ影響が小さいという感覚はお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

一方で、常用薬となると、そうはいきません。基本的には毎日飲むことになるわけですから、間違いがあるとその間違いが毎日繰り返され、仮にそれが小さなミスだったとしても積み重なるにつれて大きくなり、無視できないほどの大きな影響をもたらすことになってしまいます。

 

薬の選択は、その薬の有益性と有害性を科学的な物差しで天秤にかけ、有益性が有害性を上回ると判断できるか。判断できたとして、その薬は個人の持つ様々な持病と照らし合わせた時に本当に最善の選択なのか。そして腎臓や肝臓の機能を考えた上で、適切な投与量かなど、様々な軸から判断しなければなりません。

ここは、言うまでもなく医師の高度な技量や知識が要求されるところです。診察を受けて薬をもらう時には、なにげなく医師が薬を処方しているように感じられるかもしれませんが、その裏側には、実はこのような思考過程があります。