必要な薬が服用されていないという問題
薬のリスクばかりに目がいってしまうと頭の中の益と害のバランスが崩れ、ついつい害ばかりに頭の中が占拠されてしまい、益が見えなくなってしまいます。しかし、健康を守るために重要な薬もあることを忘れてはいけません。
飲む薬が増えれば増えるほど、不適切または不要な処方が混ざってしまうポリファーマシーという問題。このことを考えると、ついつい「過剰な処方」にばかり目がいってしまうのですが、必要な薬があるにもかかわらず、それが十分使われていないということもしばしば問題です。
米国のある研究によると、外来に通院する患者さんの処方箋を調べていった結果、65%の患者さんに不適切に処方されている薬が一つ以上見つかった一方で、64%の患者さんに持病から考えて必要と思われる薬が処方されていなかったと報告されています(参考文献1)。
例えば、過去に心筋梗塞を患った方であれば、抗血小板薬、β遮断薬、ACE阻害薬、スタチンと呼ばれる種類の薬を飲むことによって、次にまた心筋梗塞を起こし、命を奪われる確率を下げるのに有効であることがわかっています。
しかし、こういった健康を維持するのに必要な薬が、妥当な理由なしに服用されていないケースを見ることはしばしばです。なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか。
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