なぜ今、なぜこの人、読むとどうなる


リード文で読み手の共感しやすさを作り、期待値を上げる解説ポイントは以下の3つです。

(A)なぜ今?
(B)なぜこの人?
(C)読むとどうなる?

まずはこの3つをこの順番で入れるパターンをマスターしてください。

 

具体的にいうと

(A)なぜ今? とは
取り上げるテーマの必然性です。「なぜ今このテーマを取り上げたのか」=書き手の動機、もしくは「なぜ今この記事を読むといいのか」=読み手の動機をまず提示します。「コロナ禍の〜」など世の中の時流、トレンド、話題性などや、「〜で悩んでいる人へ」「初心者の方へ」など読む人のタイミングを示すパターンもあります。

(B)なぜこの人? とは
主語の説得力です。なぜこの人がこのテーマを語るのか、権威性、専門性、必然性を提示します。この人=著者である自分のこともあるでしょう。新サービス紹介、新商品リリースなどでは「なぜこの会社が?」を入れてもいいですね。

(C)読むとどうなる? とは
最後まで読むと何がわかるのかを提示します。「事例を紹介します」「トップ5を発表します」「2つを比較します」「体験を赤裸々にレポートします」……などですね。

 

ミモレのマネーに関する記事のリードから実例を紹介します。

夏休み中は、親子で過ごす時間も増えるもの。そういうときにこそ、普段できない話を子どもとしたいですよね。「お金について」の話題もそのひとつではないでしょうか?(A) 今回は「ひふみ」シリーズを運用している会社の代表取締役会長兼社長で、『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』の著者でもある藤野英人さんに、(B) マネーコラムニストの西山美紀と編集部員の片岡が「子どものマネー教育」について、話を伺いました。(C)
(『有名投資家が実践した「子どものマネー教育」投資より大切なこと』マネーコラムニスト・西山 美紀)2021/08/16公開記事より

「夏休み中は〜」が「なぜ今?」、藤野英人さんの説明が「なぜこの人?」、「読むとどうなる?」は「子どものマネー教育」についてマネーコラムニスト(専門知識がある人)と編集部員(一般人)の疑問に答える記事だとわかります。

このような取材記事に限らず、コスメレビュー、グルメレポートなどにも応用できます。

気温が下がり乾燥の気になる季節。ゆっくりバスタイムを楽しみたいですね。(A)冷え性と乾燥肌で悩まされている私が(B)湯上がりポカポカ、お肌もスベスベなおすすめ入浴剤3選をご紹介します。(C)
 

もちろん全ての記事にこのテンプレートが当てはまるわけではありません。しかし、原稿を書く前に「なぜ今」「なぜこの人(私)」がこの記事で「何を与えられるのか」を考えてみることは大切です。何かが欠けているとしたら、今じゃないかもしれないし、要素や説得力が足りてないかもしれないからです。
 

読み手の期待とのミスマッチを防いでdisコメントを回避する


「リード文の役割は、旅館のフロント」とお伝えしました。てみじかに必要十分な「おもてなし」で訪れてくれた人をお迎えする気持ちが大切です。一方で、フロントには望まぬお客さまにお帰りいただく役割もあります。

 

PV(閲覧数)を増やす意味では、なるべく期待を大きく風呂敷を広げたほうがいいという考えもありますが、“期待はずれ”はお互いに不幸だと思っています。

例えば、「素人が体験を綴った」ものなのか「専門家がトップ3を解説」したものなのか、「初心者向け」か「ある程度知識があり、比較検討したい人向け」なのか……などをリードで提示することで、読み手の期待とのミスマッチを防げます。

「期待してたんと違う」体験は読み手の時間を奪うことになり、ネガティブなコメントを引き出してしまうことも。過度な期待を煽るタイトルを“釣りタイトル”と呼んだりしますが、“釣りリード”もあまりよい結果をうみません。

最初に「こういう人向けに、こんなことをお伝えします(ここまでしかお伝えできない)」と宣言しておくことは、お互いの満足度を上げる役割もあるのです。
 

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イラスト/shutterstock、川端里恵

 

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