フルタイム勤務に嬉しい「小規模多機能型居宅介護」


在宅介護を行う際にお世話になる施設には、大きく分けて、日々通う「デイサービス」、施設に泊まる「ショートステイ」、自宅に来てもらう「訪問介護」の3タイプがありますが、通常これらを利用する際はバラバラの窓口にお願いしなければなりません。それによっていろいろな担当者とお付き合いしなければなりませんし、親も高齢なのに今日はこっち、明日はこっちと落ち着かないのでは……と、慣れや気持ちの問題で負担にならないかということも真理子さんは心配していたのです。

ところが彼女が見つけた「小規模多機能型居宅介護」は、1つの事業者と契約するだけでこの3種類の窓口が一緒になり、状況に応じて使い分けOKという理想的なサービスだったのです。もちろん一番危惧していた利用時間の問題もクリア。朝7時から19時まで利用可能ということで、仕事に支障をきたすこともありません。特に料金が高いわけでもなく、施設内も以前見学した事業所より雰囲気が明るく、父親の「お前に任せる」のひと言で契約を進めることに。

 

同じ職員に通いと泊まりを対応してもらえる「小規模多機能型居宅介護」


真理子さんは当時のことを振り返ってこう話します。

「介護は情報戦と言われますが、自分で調べることがいかに大切かを実感しました。地域包括支援センターを通さなかった場合のデメリットはなく、利用料が高くなるわけでもないので、事業所に直接体当たりするのもありだなと。まずは地域包括支援センターで話を聞いて、親の住む地域の施設状況を把握した上で調べるというのが理想かもしれません。小規模多機能型居宅介護は1つの事業所にお任せする形なので、通いと泊まりを同じ職員に対応していただけるのは本当に助かっています。

実は先日、私が急に入院することになって右往左往しましたが、事業所のケアマネージャさんに相談したら、電話1本ですぐにデイサービス(通い)からショートステイ(泊まり)まで入院期間に合わせて調整してもらうことができました。小規模多機能がない地域もありますが、働きながら在宅介護をする家族の方には名前だけでも知っておいていただきたいですね。ただでさえ会社や子どものことに気を取られる毎日なのに、その上いろいろな事業者とやり取りしなければいけないというのは疲れてしまいますから」

こうして介護離職の危機を乗り越えた真理子さん。小規模多機能型居宅介護は定額制で、自費としての出費はショートステイを使った場合の宿泊費と食費、日用品のみなので、金銭面でも計画を立てやすいと最後に教えてくれました。

写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子

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