親が年老いてくると、次第に考えるようになる実家のリフォーム。2階に上がるのが億劫になっている親のために、階段や廊下に手すりを付けたり、床の段差をフラットにしたり、年齢に合った住みやすい家づくりは必須とも言えます。

今回紹介する絵美さんも、近くに住む両親のことを考え、家のリフォームを検討するようになりました。そうは言っても両親はまだ70代前半。まだまだ体も動く、いわゆるアクティブシニアです。ですがいつか来るかもしれない介護に備え、念のためリフォームを行うことにしました。ところがリフォーム業者に見積もりを取り、いざ工事が始まった時のこと。絵美さんが施工業者の方たちにお茶を出していると、「ご両親はまだお若いから、今回は介護保険を使わずにリフォームされるんですよね?」と聞かれたのだそう。

 

リフォームすべき時期は今じゃなかった!?

介護保険は払っていても、使うということが頭になかった絵美さん。よくよく聞くと、もしご両親が要介護認定を受けていれば、住宅改修費用の一部が支給されるといいます。今回の場合、元気なご両親は要介護認定も受けておらず対象外になりますが、そもそも今リフォームをやる必要があったのかという疑問が生まれました。

実は、高齢者による転倒事故の発生場所は圧倒的に自宅が多いため、要介護状態でなくても、65歳を過ぎた頃から将来に備えて介護リフォームを行う人は少なくありません。絵美さんもそれで一度は納得しましたが、ご両親は自立歩行が可能だったので、結局手すりを付けたはいいけれど、その後5年以上も使うことはありませんでした。

ところが母親が77歳の時に脳梗塞で入院。左側の脳に損傷を受けたため、右片麻痺が出て車椅子生活になってしまいます。そしてそれまで使われなかった手すりが、今度は車椅子の進行に邪魔になってしまうという始末……。せっかく良かれと思って設置したものが、残念な結果となってしまいました。

 
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