ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考えます。今回は、10年以上事実婚状態を続けたのち、アラフォーで結婚を決めたえりなさんにお話を伺いました。

えりなさん(53歳)、大輔さん(56歳)。20代で交際し、十数年事実婚した後に39歳で入籍。

今回取材したえりなさんは、幼い頃から結婚願望を抱いたことがなかったと言います。そのため、20代後半から交際していた大輔さんとも入籍の必要性を感じず、一緒に住みだしてからも事実婚状態を貫いていました。

 

さかい:どうして結婚願望が湧かなかったんでしょうか?

えりなさん:昔から私を可愛がってくれている叔母が、ずっと独身で仕事をしてきていて。そういう生き方があるんだなというロールモデルがありました。両親は普通に仲良しだけど、しょっちゅう夫婦喧嘩していたので、結婚に特に夢も抱いていないですし。あとは、子供が欲しいという気持ちが薄いのも理由かもしれないです。欲しくない、というわけではないけれど、できないならそれでいい。自分たちも子供なのに子供を育てるなんて大変そうだな、と思っていました。

そんなわけで、結婚した今も、結婚にメリットはあまり感じていないそう。むしろ、苗字が変わることで役所の手続きなどが煩雑だというデメリットが気になり、長年、入籍することには抵抗を感じていたのです。

えりなさん:ペーパーワークが本当に苦手で。だから、結婚って女性だけが色々めんどくさくて。苗字が変わるのが嫌だなあ、と思っていたんです。

そんなえりなさんが交際十数年を経てようやく結婚に踏み切ったのには、どんな理由があるのでしょう。まずはおふたりの馴れ初めからご紹介したいと思います。

えりなさんのお仕事はエディターで、ご主人の大輔さんはフリーランスのカメラマン。出会った当初は、えりなさんは出版社の社員でした。えりなさんが先輩の撮影を手伝いに行ったときに、カメラマンとして来たのが大輔さん。撮影で意気投合し、その先輩と、先輩が付き合い始めた彼、大輔さんと4人で一緒に遊びに行くようになりました。

えりなさん:当時私は27歳くらい。みんなでゴルフに行ったりしているうちに、小学生がそのままおじさんになったような朗らかな大輔さんのことを、「一緒に居て楽しい人だな」と思うようになりました。

ふたりきりではなくグループで会っていたので、他の人たちが彼のことをどう見ているかというのを見られたのも良かったそう。明るい性格の彼は、みんなからも好かれていて、本当にいい人なんだなというのが伝わってきたのです。

こういう、コミュニティでの評判や本当の人柄って、マッチングアプリの出会いではなかなか見えてきませんものね。そういう意味で、仕事で知り合い、グループ交際を経ておつきあいに至ったえりなさんと大輔さんには、最初から安心感があったのですね。

いつしかふたりきりでドライブに出かけるようになり、ある日、ゴルフのパブリックコースに出たときに大輔さんがホールインワンを決めたことで、「この人と居るとツイてる気がする」と感じたのが、えりなさんが彼との交際を決心したきっかけ。

 

告白は大輔さんからでしたが、えりなさんからしてみれば「まだ付き合ってなかったの?」と思うくらい、ふたりで居るのが自然なことに感じていたとか。

都内ながらお互い少し離れた沿線に住んでいたふたりが、たまにお泊まりを繰り返すうちに、部屋の更新時期に「一緒に暮らそうか」となるのも当然の展開だったのです。

が、しかし。そこから入籍したのは39歳、えりなさんが40代を迎える直前。その意外なきっかけのお話は、次回に続きます。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 


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