ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをもとに、日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。

今日ご紹介するのは、日常のコミュニケーションでも商品・サービスのマーケティングでも注目される、「共感」に関するモヤモヤエピソードです。

 


「わかる!私も……●△■」と話をかぶせてくる友人


エピソードを寄せてくださったのは、小学生と4歳の子供を育てるアケミさん(主婦・40歳)。

近所に住んでいて子供のつながりで友人になった女性について。家族構成や暮らし向きが似通っているところもあり、共通の話題も多く時間も合わせやすいのでよくお茶しながらお喋りします。

気になっているのが、私が「最近こんなことがあってね」と話し出すと、すぐ「わかる! 私もね……」と自分の話をかぶせてくるところ。その後私の話に戻してくれることもありますが、たいていはどんどん違う話に変わっていってしまいます。私の話も悩み相談というほど深刻ではないのですが、最後まで聞いて欲しいなあと思ってしまいます。


おお、「共感メディア」をうたうミモレで「共感モヤモヤ」を取り上げるのはなかなか勇気がいりますね。でもわかるわ~、アケミさんのお話。とさっそく共感しながら、このモヤモヤを紐解いていきましょう。

 


その共感、ただのマイク泥棒じゃない?


「共感の時代」「共感マーケティング」「共感メディア」……。「共感」は現代社会を象徴するような、世の中にあふれるキーワードの一つですね。

一方で、「共感おばけ」という言葉も聞いたことがあります。なんでもかんでも「わかる~!」と盛り上がる、浅い共感でつながろうとしているように見える人を揶揄する言葉です。この言葉の暴力性については一旦置いておきますが、共感がコミュニケーションの上で非常に便利な手段であることは事実でしょう。


そんな便利で口当たりの良いはずの「共感」がなぜモヤモヤに変わるのか。

きっとそれは、その共感が「共感のフリした浅い相槌」「共感の振りしたマイク泥棒」であることがままあるからではないでしょうか。アケミさんのご友人は泥棒型なのかな。

マイク泥棒する人に、きっと悪意はないんです。潜在意識は恐らく二つ、「とにかく自分の話がしたい」と「相手の話がまだるっこしい」。

前者はキャラクターなのでどうしようもなく、「一旦最後まで聞いて!」とはっきり言うくらいしか対応が思いつきませんね……。でも後者の可能性がもしあるならば、自分の話し方が相手をモヤモヤさせるような段取り悪いものになっていないかをチェックすることが有効かもしれません。(私は、話し出した途端に思い出し笑いが止まらなくなることがあるので、頑張って改善中です……!)


「共感」を入り口にすると、「違い」を受け入れやすくなる


さて。確かに、安易な共感やマイク泥棒は人をモヤモヤさせるかもしれませんが、共感がここまで世に流布しているのにはちゃんと理由があります。人は基本的には、共感されたい生き物だから。そして、共感は温かい連帯を生むから。


〔ミモレ編集室〕でも、メンバーさんたちのやりとりが「わかるわかる~」の嵐になっていることがよくあります。

「こんなことがあって辛かった!」という投稿についた沢山の「わかる!私にも似たような経験があってね……」というコメント。

コメントの一つ一つを見ていくと、紹介されるエピソードは必ずしも全く同じシチュエーションではなかったりするんですよね。そして、最初の投稿者はメンバーさん達のコメントを読みながら、「そうか、相手にも事情があるかもしれないのか」「確かに、はっきり言わないと伝わらないよね」「うん、もうスルーしてしまおう!」というように、冷静に、感情と今後の対応を整理していく。そんな様子が見てとれます。

イエス・バット法という話法もあるように、一旦「わかるよ」と受け止める/受け止めてもらうことは健康なコミュニケーションにとても大切なこと。「共感」を入り口にして「違い」や「新しい考え方」を取り入れていくというのは、自分の視野を広げ、他者と共存しやすくする良い方法なのではないかと思います。共感力が高い人ってきっと、新しい世界への入り口をたくさん持っている人。

皆さんは、「共感」についてどんな思いをお持ちですか?

皆さんのモヤモヤ話を教えてください!

職場や家庭で、イラっとしたけど言えなかった、違和感を感じたけど言葉にできなかった、モヤモヤしているのは私だけ? と思った経験がありましたら教えてください。エピソードを掲載させて頂く際はミモレの会員ニックネームではなく、仮名でご紹介します。皆さまからのエピソード投稿をお待ちしております。

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構成・文/梅津 奏

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