同時に、真っ暗な穴に落ちたような、強烈な孤独感にさいなまれました。自分がそんなふうに孤独を感じるとは思ってもいなかったので、正直いってかなり辛かったですわ。でも、この孤独から逃げてはいけない。目をそらさずに向き合わないと先に進めないと強く感じました。そこで、まず自分を見つめ直すことをやりました。これからどのように生きていきたいのか。どんなときに喜びや悲しみを感じるのか。どんなことを大切だと思っているのか。
誰かほかの人の考え方をなぞるのではなく、埋もれている自分の軸の部分を掘り起こすような、自問自答の作業です。今までにやったことがないので、もがきながら必死にいろいろ考えたものです。そうして誠実に自分との対話を続けていくと、少しずつ私という人間がわかってきました。自分が見えてきたら、孤独は淋しいことや怖いことではなくなり、自分と向き合うチャンスを与えてくれた糧なのだと思えるようになりました。
孤独に寄り添った経験は、紛れもなく私の人生の一大転機。とても苦しかったけれど、幸せとの縁結びはここから始まったと思っています。
情熱と心意気さえあれば
娘ひとりに息子ひとり。そして、中学生と小学生の男女の孫が4人います。日本に帰ってきたら、みんなに会うのが楽しみです。
前の夫に、「あなたの仕事は子育てなんだから、しっかりやってくれ」と言われ、教育には相当熱心な母親でした。娘も息子も歯学部に合格して、子育てが終わったと感じたから、離婚に踏み切れたんだと思います。
アメリカの大学に留学するとき、子どもには私の気持ちを話しました。反対を押し切って渡米するのは、親子関係にわだかまりを残すような気がしたので。
すると、堅実でクールな息子に言われました。
「えっ、留学!? 費用はどれくらいかかるの? 800万円? そんなお金、どこにあるの? 無駄なことはやめなさい。そんなお金があるのなら、僕に投資しなさい。そんな無謀な戦いはやめて」
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