3位:連ドラ『大豆田とわ子と三人の元夫』(各種サブスク、オンデマンドにて配信中)

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『大豆田とわ子と三人の元夫』 写真:番組公式サイトより

心優しきメガネ男子たちに崇められる、私にとっての夢のような世界線(笑)

松たか子さん演じるヒロインの大豆田とわ子が、三人のメガネ男子である元夫たちに崇められるという、メガネフェチな私にとって、何ともうらやましいシチュエーション。坂元裕二さんの脚本が、大人のシチュエーションコメディという感じで、粋で。

モテモテなとわ子を嫌味なく品良く演じられるのは松さんしかいなかったと思うし、岡田将生さん演じる元夫シーズン3のシンシン然り、「そうそう、この人でこういう役が見たかったのよ!」と膝を打ちたくなってしまうほど神がかったキャスティングに拍手を送りたい! 特に、「4番目のメガネ刺客(私にとっての刺客です笑)」として登場したオダギリジョーさん。普段はポンコツで奥手なのに、メガネをかけてスリーピースを纏ったビジネスモードではオラオラ系に変身するという、オンオフのギャップはズルい(笑)。これぞまさに、「正しいオダギリジョーの使い方」。あんな男性が身近にいたら、女性陣はみんな即死、いや爆死だと思います!

また、とわ子と親友のかごめ、とわ子と娘の唄。登場人物たちの人間関係での程よい距離感も素敵でした。お互いに相手を思いやっていながらも、どこかちょっと距離があって。これってお互いが精神的に自立しているからこその付き合い方なのかなあ、と。好きな人たちにはついつい熱くなって距離が近くなってしまいがちな私には、一見クールにも思える彼女たちの付き合い方がうらやましく感じました。出てくるキャラたちが、全員どこか不器用なのも切なくて好きです。

好きすぎて語りたいことはまだまだ尽きないのですが、長くなったのでもうひとつだけ。

松たか子さんと人気ラッパー、そして元夫ズの俳優さんたちがコラボしたエンディング曲「Presence」は、なんと毎回歌詞も映像も違うバージョンという超豪華なもの。リリックもメロディもいいので、今年ずっと何度も聴いているお気に入り。エンドロールまで楽しめて、何度も見返したくなる作品です。

こちらは各回にフィーチャリングされたラッパー全員登場のリミックスバージョン。「STUTS & 松たか子 with 3exes - Presence Remix feat. T-Pablow, Daichi Yamamoto, NENE, BIM, KID FRESINO」

 


2位:劇場版 『きのう何食べた?』(劇場公開中)

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劇場版「きのう何食べた?」 全国東宝系にて公開中 ©2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 ©よしながふみ/講談社

幸せとは、好きな人と毎日美味しいご飯を食べることである

ドラマ版の「何食べ」は、「好きな人と毎日こうやってご飯を『美味しいね』って言い合いながら食べることに勝る幸せなんてないな」と気づかせてくれた作品。だけどそんな当たり前に思える日常のささやかな幸せこそ、実は手に入れることがとっても難しくて。離婚してからというもの恋愛や結婚に悩みすぎていた私が、自分にとっての「幸せのあり方」の軸を再び取り戻せたのは、シロさんとケンジの温かい団欒風景を観たおかげかもしれません。ふたりのように、結婚してもしなくても、お互い寄り添って生きていけるパートナーがいればそれでいいな、と。

そして劇場版も予想通りとてもよかった。嘘っぽい大げさなセリフがひとつもなくて、みんなの愛情表現がとってもリアル。シロさんもケンジも、お互いへの優しさがさりげないけど本当に愛しているんだなというのがよく伝わってきて。あと、役者さんたちの演技もすごくいい。「このシーンは絶対アドリブだろうな」とわかるシーンがあったりして、皆さんが楽しんで演じているのが伝わってくるよう。作品全体に愛が溢れているんですよね。最後にシロさんが「きれいだなって、隣りの人に言えるの、いいな」と言うシーンがあるのですが、美しい景色を見る感動を共有できるというのも幸せなことですよね。そんなシンプルで大事なことに気づかせてくれる作品です。