スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。

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初めてエルメスのスカーフを買ったのが旅先だったからか、それが遠く離れた異国の地だったからか、私にとってカレは旅の象徴みたいなもの。
20代後半、初めて訪れたパリからの帰路、シャルル・ド・ゴール空港で巻き方もアレンジの仕方も知らぬまま購入しました。
なぜって、パリのマダムたちがそれはそれは素敵にスカーフを楽しんでいたから。

ツィードのジャケットにバッチリ決めている人もいれば、デニムにラフに合わせている人も。ヘアアレンジに使っている人、バッグにあしらっている人も、みんなみんな衝撃的にかっこよかった。
それまではマダムが首に巻くものというイメージで、私とは縁のないもの、似合わないものと見向きもしなかったけど、滞在中ずっとスカーフの可能性について真剣に考えていました。
初めてのスカーフとの出会い。
もしかして、スカーフの可能性って無限大!?
それからは色々な旅先で買い足していきました。
ヨーロッパで、アメリカで、アジアでも。
なぜか主に空港で(笑)。
街中でもいいのですが、一番旅の始まりと終わりを感じる場所ですよね、空港って。
最後にこの思い出を何かに残したいと思うと、自然とスカーフを選んでいるんです。

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エルメスのスカーフはどこにでも同じものが置いてあるわけではないので、より出会いを大事にしたいアイテムです。
そしてたくさんの種類の中から選ぶ時、今の気分やマインドと向き合うことになるので、そういった意味でも旅と相性がいいのでしょうか。
段々と選ぶのも上手になりました。
最初はインパクトのあるものとか色が効いている、いわゆるスカーフらしいスカーフを選んでいましたが、帰国するとアレ??? いつものデイリーな私服とマッチしないことが多くて。
今は自分がよく着る服の色に馴染むような配色のものを選んでいます。
今までのカラフルスカーフはというと、デニムを穿くことが多いので時には藍で染めたり、ミリタリーのアイテムが好きなので泥染をしてみたりと、自己流でアレンジを楽しんでいます。

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前向きに旅ができない今、旅心を少しでも満たすためにスカーフを自分にプレゼントしてみました。モノトーン気分が続いているので珍しい黒ベースのカレを。
このスカーフをアレンジしていると、色々な思い出が蘇ります。
旅先での景色、香り、食べ物、たくさんの思い出が私を少し幸せにしてくれます。
ハプニングの思い出さえも!
あぁ、行きたいなぁ……
と、旅気分を満たすつもりだったのに逆に高まってしまうこともあるのでご注意を!(笑)
今日はどんなアレンジで出かけようか。

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写真・文/福田麻琴


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