フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。

 

ミモレ読者の皆さま
明けましておめでとうございます。
年末年始、いかがお過ごしでしたか。

 

私は、
「あトラしい年に期タイガーいっぱい
 年トラないよう何でもトライしタイガー」
なんてダジャレを考えていたらいつの間にか年が明けていました。
ちなみに
「おめでタイガー」は12年前に使っていて、
「今年こそ寅ベルしタイガー」は一度寝た後に思いつきました。

気づいたときには2022年1月1日0:07でした……。

そんな中、知人の挨拶に「大人虎変」(たいじんこへん)という言葉がありました。
意味は、
「すぐれた人物の統治によって、古い制度や物事が一新されて立派になること。また、徳の高い人格者が時の変化によって日々進むこと。
▷大人=徳の高い人。虎変=虎の毛が夏から秋にかけて抜け変わり、模様が鮮やかになること」(『新明解故事ことわざ辞典』/三省堂より)

生活様式が変わり、私たちの価値観にも変化をもたらし、政治についてもより考えさせられたコロナ禍に、妙にしっくりくる言葉です。
一見、
「最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一、生き残るのは変化できる者である」
というダーウィンの言葉と矛盾しているように感じられますが、
時代や環境に合わせて変化できるということは、
時代を読む力も、変化する勇気も、おそらく運も持ち合わせているわけで、
変化できる者こそ、真に賢く、真に強い者、ということなのかもしれません。

さらに虎にまつわる言葉を調べていたら、「三人成虎(さんにんせいこ)」という言葉にも出会いました。
「事実でなくても、多くの人が言えば、事実と思われることのたとえ。一人が『虎が出た』と言っても信じられないが、三人がつぎつぎにそう言うと、信じられてくることから」(同上)

コロナ禍の当初に実感したことに当てはまり、興味深いです。

お年賀で頂いた虎屋の羊羹。おめでたい気分になれます。

ご存知の方も多いと思いますが、虎は、縁起物とされています。その模様から、前身は夜空に輝く星と考えられていた存在で、『決断力と才知』の象徴となっていること。さらに、その黄金色から、金運の象徴であることに由来しているそうです。

改めまして今年の干支は、壬寅(みずのえとら)。
壬には、「妊に通じ、陽気を下に姙む(はらむ)」という意味が、
寅には、「螾(みみず)に通じ、春の草木が生ずる」という意味があり、
壬寅は、厳しい冬を越えて、新しく生まれ、芽吹き始め、成長していく礎となる年とのこと。
約2年コロナ禍を耐え忍んで迎えた新年に寄り添い、希望を与えてくれます。

皆さまにとって、より良き年となりますように。
本年もよろしくお願い申し上げます。

浅草寺は、上から「投げ銭」をしないとお賽銭箱に届かないほどでした。眩しくて眉間にシワが……。


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