毎月、各分野の第一線で活躍されている方々を講師にお招きし、目からウロコの仕事術や業界の裏話といった、生の情報に触れることのできる〔ミモレ編集室〕の「編集・ライティング講座」。先日は初めて、メンバー以外の方も参加可能な外部公開講座としての開催となりました。
この特別な回に講師を務めてくださったのは、化粧品業界で知らない人はいないカリスマPRの土屋香里さん。SK-Ⅱの元PRマネージャーで、SK-Ⅱを国民的、世界的ブランドに育て上げた土屋さんに「魅力を伝えるとはどういうことか」「人の心を動かすコミュニケーション術とは」をお話しいただきました。
PRや広報の職種に限らず、日々の仕事や普段のコミュニケーションにも役立つメソッドが満載で、「この内容、会社の後輩やうちの旦那にも聞かせてあげたかったな……!」と思わずにはいられませんでした。
大切なのは「どう伝えるか?」よりも、「何を伝えるか」。
話の冒頭からとても驚いたことがあります。実は土屋さんは
・人付き合いが苦手
・引っ込み思案
・口下手
なのだそう。カリスマPRが引っ込み思案?! そんな、にわかには信じがたいですね。
例えば、「今度の新商品、ぜひ記事に書いてください。ご紹介お願いします!!」といったような“お願い事”が苦手なタイプ(個人的にとてもよく分かります……!)という土屋さん。だからこそ、このようなことを考えるに至りました。
「相手の方が、素直にアクションを起こしたくなるような伝え方はないだろうか?」
「そのためには、価値のある、魅力のある情報(中身)をお伝えすれば良いのではないか?」
こちらからお願いせずとも、「新商品の記事を書きたい」と相手に思ってもらえる―― そんな「相手の心を動かす」ために、土屋さんが意識されている3つのポイントについて教えていただきました。
上のスライドを見せながら、「特に大切なのはこの2つです」と土屋さん。
・WHAT(何を)
・WHO(誰に)
「どう伝えるか」ではなく、「何を伝えるか」が大事なポイントだと言います。
コミュニケーション術、と聞くとつい「どのように伝えるのか」といった手法(HOW)を意識される方は多いのではないでしょうか? 私もその一人でしたが、この後のお話でその真意が明らかになったのです。
話す相手に合わせて切り口を変える!
まず、「WHAT(何を)」について。何を伝えるかを決めるには、魅力の整理と棚卸しが必要と土屋さん。新商品の紹介をするのであれば、「その商品が誕生するに至った背景(人々のニーズや世の中の動き)」「商品の一番の魅力や価値ある特長は何か」などがこれにあたります。
そして、その特長を魅力的なものにするかは「WHO(誰に)」話すかで変わってくるのです。例えば、相手が20代向け雑誌の編集者だったら? もしくは、ミモレの編集者だったら……? 読者層が変われば必要な情報が変わります。仕事内容や立場によって、必要な情報はさまざま。「どういうことに興味を持っている方なのか」といった相手のニーズを理解したうえで話すのとそうでないのとは、伝わり方は雲泥の差ですよね。
あくまでも主役は話し手の自分ではなく、聞き手である相手の方(さらにはその先のユーザー)。相手に合わせて切り口を変えること、情報をカスタマイズして伝え方を考えることが重要なのです。
相手のことを考えて話す――。 一見、当たり前のように聞こえることなのですが、果たして自分がこのことをいつも意識して仕事ができているのだろうか? 人とコミュニケーションできているのだろうか……? と考えさせられました。
『北風と太陽』の“太陽”のような人(Byバタやん)
今回、講座の内容も非常に有意義で勉強になったのですが、それにも増して土屋さんご自身が印象に強く残るとても魅力的な方でした! “伝説のPR”という事前情報だけで、「ものすごくインパクトの強い方なのかしら(目ヂカラが非常に強いとか?)」などと身構えていたのですが、実際に画面上でお会いした土屋さんの第一印象は「温和で柔らかな方」。いい意味で期待を裏切られたのです。
そして、講座を終えてからのバタやんさんの感想が実に言い得て妙だったので、ご紹介させてください。
土屋さんはカリスマPRと言われる方ですが、 “圧”が無いんです。『北風と太陽』の、“太陽”のような人。以前から土屋さんから商品を紹介いただくと「必ず記事で紹介しないと!」という気にさせられると思っていたのですが、その理由が今日、ロジカルに説明されて「こういうことだったのか!」と分かりました……!
力のまま強引に相手を動かそうとする“北風”ではなく、暖めてコートを自ら脱がせた“太陽”。まさに、「相手の心を動かして素直にアクションをしてもらう術」ですね。私も、日々そのような女性でありたいと思いました。
いかがでしたか?
〔ミモレ編集室〕メンバーになると過去の講座内容はすべてアーカイブ視聴できます。私もまた仕事で行きづまった時などに今回の講座を見返して、土屋さんの笑顔に元気をもらいたいと思いました。
「編集・ライティング講座」は、私の大好きな月に一度のお楽しみ時間。小学1年生の娘がいるのですが、このときだけは必ず旦那に娘を任せてひとり時間を確保しています。バタやんさんの人気連載「WEB文章術」も、実際の講座をご覧いただくと面白さと納得度が倍増ですよ!
※ちなみに毎度書いていますが、こんなに質の高いライティング講座が月額の会員費だけで受講できるのは稀なことだと自信をもって言えます(有料のライティング講座は通常数万~数十万ほど)!
余談ですが今回、講座の冒頭で「今回の講座レビュー記事は、〔ミモレ編集室〕のメンバーの中から指名します~」と案内があったのですが……、はい。私が当たりました! 自分の書く記事がミモレに掲載されて、多くの方の目に触れる機会を頂ける……、このような貴重な体験ができるのも〔ミモレ編集室〕ならではです。
ライティングや「伝えること」に興味のある方、新しい自分を見つけたい方、プロフェッショナルの方々から多くの気づきを得たい方……、ぜひ〔ミモレ編集室〕を覗いてみてくださいね。
chieさん
チョコミントとファッション(洋服も和服も)が好きな40代。ファッション系企業でマーケティングの仕事をしています。トレードマークはメガネ。年1回の「京都ひとり旅」が私のご褒美です。小1の娘と旦那の3人家族です。転勤族で、最近名古屋から横浜へ引っ越してきました。