闇の芦田(間宮祥太朗)か光の慎吾(菊池風磨)か


そんな花枝を支えるのが、2人の男性です。1人目は、出会った瞬間に、「俺と付き合ってくれない?」と告白した芦田(間宮祥太朗)。彼も花枝と同じく、燻っている側の人間です。かつて、1曲だけヒットを出したことはあるが、今は落ちぶれてしまった崖っぷちミュージシャン。

 

第1話では、花枝にとっての“ファイトソング”が、彼が作った楽曲であることが明かされました。その曲を、「私にとっては、世界にたった一つだけの曲。これだけあれば、ほかに音楽いらないんです」なんて褒められたら、どうやったって運命を感じてしまう……。

そして、もう1人は、花枝と同じ児童養護施設で育った慎吾(菊池風磨)です。自暴自棄になった花枝のことを優しく見守っている彼。明るく天真爛漫な性格ではありますが、時には、「仕事なめんなよ」と喝を入れてくれる存在でもあります。ただ優しいだけではない……というのが、慎吾の魅力ですよね。

闇属性の芦田か、光属性の慎吾か。花枝が幸せになるためには、どちらを選べばいいのでしょうか。双方に、いいところがあるんですよね。芦田は、花枝と同じ状況にいるから、傷を分かち合うことができる。同じように、「痛いよね。分かるよ」と慰め合うことができるんです。

一方、慎吾は、「それ、傷なの?」と明るく吹き飛ばしてくれるタイプ。彼といると、苦しみを苦しみだと感じずにすむ気がします。「進めないんだよ。どこにも。動けないんだよ。何したらいいか分かんないんだよ」と言った花枝に、「難しいことは分かんねえけど、とにかく右足出して、次に左足出して、それ続けてりゃ、前進むんじゃね?」と返したのも、よかったですよね。悩みを抱えている時は、深く物事を考えない相手といることで、救われることもある。

最終的に、花枝が選ぶのはどちらなのでしょうか。ただ、第1話終盤で明かされた花枝の秘密。それは、事故のせいで耳が聞こえなくなる可能性がある……というものでした。もしも、音楽で結ばれた芦田とくっつくことになれば、聴力を失ってしまうことへの恐怖心がより大きなものになってしまうかもしれない。ただ、目の前に苦しみがあると分かっていても、進み出したら止まらないのが恋心。毎週火曜日の夜は、『ファイトソング』を観てほっこり、そしてハラハラさせられることになりそうです。
 


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