介護が必要な人に、その費用を給付してくれる介護保険制度。40歳以上になると全員が加入者(被保険者)となって保険料を納めますが、ミモレ読者の皆さんは、払うことはあっても使うことを考えていない人も多いのではないでしょうか。今回は、介護保険は何もしなくても使えるもの、と思っていた愛さんの話を紹介します。

 


突然訪れた介護問題


愛さんの母親は75歳。父親と2人で長年住み慣れた土地に暮らしていました。両親ともに持病などなく健康だったため、親の老後についてはさほど気にしていませんでした。ところが近頃、実家に帰ると母親が同じことを何度も話してきます。ですが若い頃からそんなことは日常茶飯事だったので、愛さんは「お母さん大丈夫(笑)?」と冗談半分で返していました。

ところがその数ヶ月後、年末年始に家族みんなが揃ったタイミングで、久しぶりに会った義姉が「お義母さん少し様子がおかしくない? 前は身だしなみもしっかりしていたのに髪はボサボサ、洋服も少し汚れているし……」と言い出します。これは俗に言う認知症……?と気になった愛さんは、念のため母親に検査を受けてもらうことに。MRI画像検査で脳の状態を確認したところ、なんと脳の萎縮が確認され、その場でアルツハイマー型認知症と診断を受けてしまいました。

母親の体の心配はもちろん、それと同時によぎったのがお金のことでした。介護が必要になる要因には、愛さんの母親のような認知症以外に、脳血管疾患(脳卒中)と高齢による衰弱が多く見られます。認知症は比較的女性に多く、脳血管疾患(脳卒中)は男性に多い疾患。いくら体が健康でも、突然介護の問題が襲ってくることも多いのです。

 
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