介護サービスを利用するためには


65歳以上の方には、全員に「介護保険被保険者証」が郵送で交付されていることをご存知でしょうか。65歳になる誕生月に住んでいる市区町村から郵送されますが、この被保険者証は介護保険の被保険者であることを証明するもので、介護サービスを利用する際に必要になってきます。ですがこれが手元にあるだけでは介護サービスを受けることはできません。介護サービスを利用するためには、住んでいる自治体(市区町村)の介護保険窓口へ行き、介護保険認定のための手続きをする必要があります。

そんなことは一切知らなかった愛さん。ママ友に促されるまま介護保険窓口へ行き、手続きを行うことになりました。窓口では、介護保険は介護の度合いによって1ヶ月に利用できるサービスの金額に上限(限度額)が設けられていること、限度額を超えてサービスを利用した分は全額自己負担となり、負担の割合は所得によって変わるという説明を受けた愛さん。要介護・要支援認定者は、訪問、通い、宿泊、入居、福祉用具レンタルや住宅改修など、さまざまなサービスを受けられるということも知りました。

 


1ヶ月あたりの要介護度別の支給限度額

要支援1:50,320〜57,364円(5,032単位)
要支援2:105,310〜120,053円(10,531単位)
要介護1:167,650〜191,121円(16,765単位)
要介護2:197,050〜224,637円(19,705単位)
要介護3:270,480〜308,347円(27,048単位)
要介護4:309,380〜352,693円(30,938単位)
要介護5:362,170〜412,873円(36,217単位)

※実際の支給限度額は金額ではなく単位で決められており、サービスの種類によって1単位あたりの単価が異なります。

窓口では、要介護認定を受けると、毎年7月頃に負担割合が記載された「介護保険負担割合証」が自治体から送られてくるという説明も。ただし、2割負担、3割負担といっても、単純に自己負担額が倍増するわけではないようです。介護保険サービスを利用して1ヶ月間に支払った利用者負担額が上限額を超える時、その超えた分が支給される高額介護サービス費支給制度があるのだとか。支給を受けるには初回のみ申請手続きが必要で、2回目以降は該当すれば自動的に指定の口座に振り込まれます。

3年に1度、見直しが行われている介護保険制度。一般的な所得の方の負担限度額は月額44,000円ですが、2021年8月から一定年収以上の高所得世帯は負担限度額が変わり、課税所得690万円(年収約1,160万円)以上は1世帯あたり140,100円、課税所得380万円(年収約770万円)〜課税所得690万円(年収約1,160万円)未満は93,000円になりました。

65歳以上の約5人に1人が介護を必要としている時代。親の介護は、いつ当事者になってもおかしくない問題なのです。

 

写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子

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