超高齢社会を生きる私たちが望むのは、ただ長生きするのではなく、“死ぬまで元気”でいること。なるべく人の手を借りず、最期まで自立した生活を送りたい。そのために、今すぐできることは何か。NY在住の老年医学専門医、山田悠史先生の新刊『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』(6月24日発売)から、その答えをひとつご紹介します。

お酒は健康にいいのでしょうか。「酒は百薬の長」などと言われることもありますから、健康につながるかもしれないと思われる方も少なくないと思います。

お酒と健康について考える場合には、「健康」が何を意味するかによって「適量」は変わってくるかもしれません。
 

過度な飲酒でがんを発症することもある


まず、過剰な飲酒がさまざまな健康問題につながることは、ここで説明するまでもないかもしれませんが、間違いのない事実です。

「飲みすぎると肝臓が悪くなる」「健康診断の前にお酒を控えないと肝臓で引っかかってしまう」といったセリフに代表されるように、お酒が肝臓の障害を起こすということは多くの人に知られていると思います。

お酒はそれ以外にもさまざまな病気との関連があります。あまり知られていないかもしれませんが、がんとの関連も数多く報告されています。具体的には食道がんや乳がん、頭頸部がんなどのリスクとの関連性の報告があります(参考文献1)。米国では、働く世代の10人に1人が、アルコールが直接的に関連した健康問題で命を落としているとも報告されています(参考文献2)

 

日々の飲酒が、知らず知らずのうちに依存症に導いてしまうこともあります。アルコール依存症に陥ってしまうと、「もう飲んではいけない」とわかっていても止められなくなってしまい、ますます健康を害してしまうことにつながります。

 

ただ一方で、お酒はコミュニケーションの潤滑油のような役割を果たしてきたところもあるでしょう。付き合いでどうしても避けられないということもあるかもしれません。

では、お酒はどのぐらいが適量かというのを知るには、種々のガイドラインが参考になります。

 
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