カフェインの摂取で頭痛や不眠が生じることも
一方で、コーヒーによる「副作用」にはどんなものがあるのでしょうか。
例えば、カフェイン摂取による短期的な副作用として頭痛や不安、手のふるえ、動悸、不眠などがよく知られています(参考文献5)。また、長期的な副作用として、不安障害との関連性を示唆する報告もありますが、因果関係まではわかっていません。
また、頻尿の症状とも関連する(参考文献6)ため、例えば男性で前立腺肥大があるケースでは、その症状を悪化させる可能性があります。私自身、過去に前立腺肥大の薬を内服中の患者さんで、実は日常的に飲んでいるコーヒーが原因だったというケースに何度か出会っており、意外な落とし穴かもしれません。
加えて、焙煎したコーヒー豆にはアクリルアミドと呼ばれる動物に発がん性を持つ物質が含まれるため、コーヒーの発がん作用を懸念する意見もあります。ただ、これまでがんの発症とコーヒー摂取の関連性を調べた研究では、がん発症との関連性は認められておらず、人間への発がんリスクの可能性は低いと結論づけられています(参考文献7)。
一般にカフェインの安全な摂取量は1日400mgまでとされており(参考文献8)、これは一般的なコーヒーカップで3〜4杯程度にあたります。これを超えた場合に、先ほど紹介した副作用のリスクが増加します。また、まれな副作用として心臓の不整脈の可能性なども指摘されています。
以上のことから、コーヒーを飲まない方がよいという理由も、コーヒーを飲んだ方がよいという強い理由もないというのが現状です。しかし、どちらかといえば健康につながる可能性を多く指摘されているので、「副作用」の出ない範囲で適量を楽しむことには問題がないといえるでしょう。
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前回記事「健康的なお酒の量ってどのくらい? 飲酒と病気の関連性とは【医師・山田悠史】」はこちら>>
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参考文献
1 Hernán MA, Takkouche B, Caamaño-Isorna F, Gestal-Otero JJ. A meta-analysis of coffee drinking, cigarette smoking, and the risk of Parkinson’s disease. Ann Neurol 2002; 52: 276–84.
2 Barranco Quintana JL, Allam MF, Del Castillo AS, Navajas RFC. Alzheimer’s disease and coffee: a quantitative review. Neurol Res 2007; 29: 91–5.
3 Huxley R, Lee CMY, Barzi F, et al. Coffee, decaffeinated coffee, and tea consumption in relation to incident type 2 diabetes mellitus: a systematic review with meta-analysis. Arch Intern Med 2009; 169: 2053–63.
4 Poole R, Kennedy OJ, Roderick P, Fallowfield JA, Hayes PC, Parkes J. Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes. BMJ 2017; 359: j5024.
5 Gunja N, Brown JA. Energy drinks: health risks and toxicity. Med J Aust 2012; 196: 46–9.
6 Bird ET, Parker BD, Kim HS, Coffield KS. Caffeine ingestion and lower urinary tract symptoms in healthy volunteers. Neurourol Urodyn 2005; 24: 611–5.
7 Bøhn SK, Blomhoff R, Paur I. Coffee and cancer risk, epidemiological evidence, and molecular mechanisms. Mol Nutr Food Res 2014; 58: 915–30.
8 Heckman MA, Weil J, de Mejia EG. Caffeine (1, 3, 7-trimethylxanthine) in foods: a comprehensive review on consumption, functionality, safety, and regulatory matters. J Food Sci 2010; 75. DOI:10.1111/J.1750-3841.2010.01561.X.
写真/shutterstock
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