ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考えます。今回は、DVだった最初の夫と離婚後、韓国人男性と結婚した楓さん(42歳)に結婚後の生活について伺います。

楓さん(仮名)、42歳。キムさん(仮名)、47歳。楓さんは28歳のときに医師で年上のバツイチ男性と2ヶ月でスピード婚。しかし夫のモラハラが発動して離婚し長い間、男性不信に。その後アラフォーになってから某K-POPグループにハマり韓国語スクールに通ったことがきっかけで、推しに似た雰囲気の韓国人キムさんと知り合い、自分から猛アプローチの末、再婚。

最初の結婚で散々な目に遭い、「もう恋愛なんかしない!」と決めていた楓さんが、好きなK-POPアイドル似の韓国人男性キムさんにひとめぼれし、アプローチしまくって恋人に。

いわゆる毒親の母親と楓さんが一緒にいると情緒不安定になると気づいたキムさんが、「一緒に住もうか」と言ってくれました。

 

楓さん:家を探すときに、夫婦で家を買うと金利が安くなることを知って、「それならもう、家を買っちゃおう!」と決意しました。誰かに彼を取られたくないから、自分のそばに置いておこうという気持ちもあった気がします。
 

家を購入するという大胆な決断ができたのは、楓さんが自分で稼げる医師だったことも大きそうですね。

2月に交際スタートしたふたりは、こうやって8月には家を探していました。そして家が決まったら、購入してそのまま入籍。挙式はせず、韓国の民族衣装を着て記念撮影するフォトウエディングを行いました。そのお写真を見せていただきましたが、とっても素敵でした。

さかい:国際結婚というのはハードルにはなりませんでしたか?

楓さん:そうですね。私の両親は「やっと楓が落ち着いてくれる」と喜んでいましたし、交際中に彼のご両親に韓国に会いに行ったときも、優しそうでいいご両親だったので、国籍は気になりませんでした。義父母は敬虔なクリスチャンなので、「神様がふたりを会わせてくれた」と感激してくれたのが嬉しかったです。
 

最初の結婚で性被害に遭った楓さんですが、実は夫キムさんも、兵役のときに男性から性的暴行を加えられたことがありました。

楓さん:結婚の話になったとき、彼には過去の話をすべて話したんです。そうしたら彼も自分の経験談を話してくれて……。
 

同じ心の傷を持つふたりの関係を、楓さんは「『きのう何食べた?』のシロさんとケンジのような関係」と評します。

楓さん:劇場版を観に行ったとき、「このふたり、私たちみたいだな」と思いました。性行為はあまりなくても、老夫婦のように寄り添って。愛してると言葉にしなくても、お互いを思い合っていることがわかっている。そんな関係だと思います。例えば私は牛乳が大好きなんですが、夫はそれを知っていて、なくなったら買い足しておいてくれる。そんな小さなことでも愛情を感じられるのは、アラフォーになってからの晩婚だからかもしれません。20代の頃だったら、もっと派手な愛情表現を求めていた気がするから。

さかい:夫婦生活がないことに対して不満はないですか?

楓さん:セックスをしない代わりに、毎日マッサージしたり、疲れているときには髪の毛を洗ってくれたりするので、「無理にしなくてもまあいいか」という気持ちになれるんです。ただ、子供を持つことに関しては、年齢的にも悩んで1年ほど真剣に話し合いました。不妊外来に行ったら、子供はまだできますと言われたのですが、もし子供ができなくても、一度は前の結婚で経験しているからいいかな、と。

 

以前の結婚生活から、「世の中安心安全ではない」と知ってしまった彼女。今では穏やかな日々が続いてくれれば、それ以上のことは望まないと言います。その気持ち、楓さんと同じバツイチの私には、とても共感できます。若い頃はキラキラした華やかな結婚生活に憧れるかもしれませんが、実際は、心が平穏で過ごせる毎日こそが、何ものにも変え難い幸せなんですよね。

そんな穏やかな幸せを手に入れた楓さんからの、婚活女性へのアドバイスが。

楓さん:周りの婚活女性を見ていると、受け身な人が多いなと感じます。一回デートしてそのあと彼から連絡がなければ、「ありえない」とキレたり、うじうじと悩んだり。でもそうやって選ばれるのを待つより、自分から選びに行った方が、絶対にいい。結婚したいなら、まずは自分から仕掛けること。ひとりの人に時間をかけて待っているのは時間がもったいないです。自分から行って、ダメだったら次に行けばいいだけなので。
 

たしかに、奥手なキムさんに自分から積極的にアプローチし続けなかったら、今の生活はなかったはず。人は年齢と共に傷つくのが怖くて臆病になりますが、「この人だ!」とピンと来たら、楓さんのように行動する勇気、持ち合わせていたいです。
 

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 


前回記事「恋愛をあきらめ母の介護をしながら生きていたアラフォーの私に、運命の出会いが!」はこちら>>