美容師に“髪型”を指定してはいけない理由。心に似合う髪型オーダーの極意
40代に突入して今までのヘアスタイルがどうもしっくり来なくなった。その原因は、髪型が今の“心“に似合っていないからかも。そんな「髪型迷子」の解決法と似合う髪型をみつけるためのオーダー法を、ヘアアドバイザーのさとゆみさんこと佐藤友美さんと人気美容師のVANさんが、それぞれの視点から解説します。
教わったのは……
VANさん
ヘアサロン『Cocoon(コクーン)』代表。1972年生まれ。長崎県出身。3店舗を経て、2009年に東京・表参道に『Cocoon』をオープン。2020年には銀座店も展開。サロンワークを中心 に、ファッション誌や業界誌、コンテスト審査員としても活躍。骨格や髪質に沿ったCocoonオリジナルのノンブローカットは多くの業界人からも支持を得ている。現在はノンブローカットをニューベーシックにすべく国内外でセミナー講師を務め、講師依頼が殺到。開催するセミナーもキャンセル待ちが続出している。
「似合う髪型がわからない」「気に入った髪型にならない」本当の理由
佐藤友美さん(以下、さとゆみ):実は似合う髪型って、3つの要素で構成されているんです。
(1) 髪質と顔型に合っている、見た目に似合っている 45%
(2) 「今」の気分や心に合っている 45%
(3) 普段のスタイリングがしやすい 10%
「似合う」の構成要素を100%とすると、その内訳は①と②が45%ずつ。③が残りの10%を占めます。他人から見て「似合う」と褒められる髪型ならば①の要素さえクリアできていれば充分なのですが、あとのふたつが当てはまっていないと、「何だかしっくり来ない」ということになりやすい。髪型が何だか気に入らないときって、②の“心“に合っていないんですよね。
特に「大きくイメチェンしたい!」というとき。長年担当している美容師さんだと、その人の髪質やスタイリングの技術に合わせて扱いやすいように、雰囲気に合うように切ってくれるので、結果的にいつもと変わり映えせず「やっぱりピンと来ない!」となりがち。ここは②の「今の気分」で自分をどんな風に変えていきたいかをしっかり伝えるのがポイントです。
VANさん(以下、VAN):40代以降の女性は、髪質の変化やダメージなど「その先」のことも考えてヘアスタイルを考えるのが僕は大事だと思っています。クセ毛の人がやりたい髪型がストレートパーマを全体にかけないと成立しないものだったとしたら、ストパーをかければその場では満足するかもしれないけど、加齢で細くなっている毛がブチブチに切れて痛んだりして、結局続かない。だからまずはその人の髪質から入って、その先に生き方やなりたいイメージを置く。その人の髪質を無視しても、絶対にしっくり来ないんですよね。
佐藤友美さん
日本初のヘアライター。 約20年のヘアライター人生で、約4万人、200万カットものヘアスタイル撮影に立ち合う。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、日本はもとより、海外でも美容師向けの講演を行い、セミナーを受けた美容師はのべ3万人を超える。
歯切れのいい解説で、NHK「あさイチ」、MBS・TBS系「林先生が驚く 初耳学! 」などのテレビ、ラジオ番組などで活躍する一方、ヘアアドバイザーとして全国の女性の髪の悩みにこたえ、高い満足度を得ている。現在、ESSEonline「ヘアの問題白黒つけます」やmi-mollet(ミモレ)「さとゆみの『ドラマな女たち』ヘア&メイクcheck」などを連載中。著書に、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)などがある。近著に『髪のこと、これで、ぜんぶ。』(かんき出版)。