何度かけてもつながらない電話に悪い予感がした


2021年1月半ばのこと、母の入院費の支払額を伝えるために何度か実家と携帯電話に電話をかけてもつながりません。如月さんは、実家の近くに住み、鍵を預けている叔母に電話し、様子を見に行ってもらうよう頼みます。そして叔母が、自室で倒れて亡くなっている父を発見。死後約1週間が経過していました。

「実はなんとなく予感していました。何度かけても電話に出なかった時に、もしかしたら父はもう、この世にいないんじゃないかということはなんとなくわかってしまったんです」

 

ほんの1年前まで帰省時には空港まで迎えに来てくれていた両親が、母は認知症で入院し、父は自宅で亡くなっているという状況の激変ぶりに、如月さんの心がついていけなかったのも無理はありません。如月さんは一人っ子で、母の施設探しや遠距離介護、空き家になってしまった一軒家の片付け・維持などがすべて一人にのしかかってきました。また、実家では猫を4匹飼っていて、父の死後、なんとか水だけで生き延びていたものの、この猫たちのことも考えなくてはなりません。

「実家というのはいつも親がいるものという感覚しかなく、介護もゆっくり始まるものと思っていました。なのに、いきなり両親ともいなくなるなんて思いもよらなかったですし、何もかも想像していなかったことの連続でした」