スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。

「カルティエのタンク フランセーズ」は私にとって“働く女性”の象徴です_img0
 

アシスタントに着いたばかりの頃、ボスが身につけているものがいつも素敵で憧れていました。
靴、バッグ、時計、ジュエリー……この頃、ボスの家で私は名品をたくさん知った気がします。
でもボスはどれも眺めるようなことはしなくて、全てガシガシ使っていたのも印象的でした。それがまたカッコよくて。
バーキンなんてジェーン・バーキンのバーキンバッグより年季入っている風合いで(笑)。
その中でも特に心に残っているのがカルティエのタンク フランセーズです。
その頃のボスのファッションや気分と合っていたのか、ほとんど毎日この時計をつけていました。カチッとしたテーラードのジャケットにも、ロックTやデニムにも。
不思議なことにどんなテイストにも合う。そして無条件に大人の女性の色香を漂わせてくれるんです。
素敵……

 

ブレスレットのようなモダンな時計に心から憧れました。
まだ20代前半、ハイブランドの高級な時計の持つ輝きやパワー、自信みたいなものに私は初めて触れたのです。

「カルティエのタンク フランセーズ」は私にとって“働く女性”の象徴です_img1
 

それ以降、私の中でこの時計は働く女性、自立した女性のシンボルみたいになりました。
いつか私も自分で働いたお金でこの時計を買いたい!
素敵なギフトは貰えるのならいつでも貰いたいけど(笑)、この時計だけは自分で買いたかったんです。やっぱり自立のシンボルだから。
いつかいつかと夢見たタンク。
独立し、自分へのギフトとしてこの時計を買いました。

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この時計を見るとあの頃の気持ちが甦ります。
一生懸命仕事と向き合い、とにかくがむしゃらに突き進み、振り返ることなんてしなかったあの頃の自分。
今では考えられない働き方だったなぁ。まぁ、体も無理ができたんでしょうけど(笑)。
何をしても楽しくて、いつまででも起きていられたなぁ、仕事のためなら!
あの時代があったからの今なのかなぁ、なんて感慨深くなれるのもこの時計のおかげ。
それから歳を重ね私の時計コレクションも少し増えましたが、その中でもタンクは思い出深い品となりました。
今も初めて触れた時と変わらず、私に輝きやパワー、自信を与えてくれています。

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写真・文/福田麻琴


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