いろんな場で求められる、マルチな表現者でありたい。
近年は、映像分野でも活躍する大貫さん。続編や映画版も製作された人気ドラマ『ルパンの娘』で演じた円城寺輝役は、話しながら歌い踊り出してしまうコミカルなキャラクター。ミュージカルのプロである大貫さんが真剣にやればやるほど、笑いを呼びました。
「僕は、面白いことをやってやろうとして演じてはいないんです。円城寺だったらこうするだろうとイメージしてやることがたまたま面白いだけで、僕はマジなんです! 『ルパンの娘』では、憧れの市村正親さんとご一緒できたことも嬉しかったですね。夜中でもエネルギッシュに踊り、現場を明るく盛り上げ、謙虚でもいらっしゃって、あんなに素敵な方はいないです」
こうしてドラマに出演するようになって、新たに抱いた夢のひとつが、写真集を出すことでした。
「ダンサーとして、もともと外から自分がどう見えるのかという意識は強いんですが、映像に関しては、自分のイメージと画面に映る自分の見え方がようやく一致してきたところ。監督と相談しながら、狙い通りに自分のお芝居が画面に映ることが今、嬉しくて仕方ないんです。映像の世界にきて、写真を撮っていただく機会も増えて、いつしか写真集を作ってみたいと思うようになりました。写真撮影は、カメラマンと言葉のないやり取りを交わしながら、勝負をしているような感覚になれるのが好きです」
その夢が叶い、初写真集『le mec』を発表。鍛え上げられた肉体美から料理シーンなどナチュラルな姿まで、大貫さんの魅力に多面的に迫った一冊です。
「水着での撮影は初めてで、水抜きには何がいいのか調べたら、カリウムがいいということで、トマトジュースと干し芋をひたすら食べて臨みました。自信があるボディパーツは、手。僕のサイズを越える人にはなかなか会わないですね。筋肉なら広背筋かな。体操をやっていたので、すごく発達していて自分でも好きです。コンプレックスは、太もも。これ、ダンサーあるあるなんですけど、太ももが太くてスキニーパンツが穿けません(笑)」
写真集は叶いましたが、ほかにも夢は大きく広がるばかり。好奇心旺盛でいろんなジャンルのダンスを踊ってきた少年時代と変わらないようです。
「大河ドラマに出て、大勢の方に僕の芝居を見てもらいたいんですよね。いつかは主演ドラマもできたら。モデルもやってみたいですし、歌手としてCDデビューもできたらと思っています。いろんな場で求められ、マルチにできる表現者でありたいですね」
大貫勇輔 Yusuke Onuki
1988年8月31日生まれ、神奈川県出身。7歳からダンスを始め、17歳でプロダンサーに。2021年、ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』に主演。今秋には、同作品の中国公演が予定されている。今年2月、沖縄で撮影したファースト写真集『le mec』(講談社)を発表。3月より上演されるミュージカル『メリー・ポピンズ』に出演。出演映画『KAPPEI』は、3月18日より全国公開予定。
取材・文/小泉咲子
構成/山崎 恵
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