舞台『セールスマンの死』で、実に25年ぶりにステージに立つ女優・鈴木保奈美さん。演じるのは、夫を献身的にサポートし、家計をやりくりしながら、夢のマイホームで子どもを育てる専業主婦です。鈴木さんが、約70年前の戯曲に描かれた女性像に対して思うこととは? また、鈴木さんを素敵に輝かせる、ポジティブな思考法についても伺いました。
ひとことのアドリブが思いつかず、毎日苦しんだ初舞台
‘97年、『郵便配達夫の恋』で初舞台を踏んだ鈴木保奈美さん。社会現象となった『東京ラブストーリー』など数々の大ヒットドラマに出演してきた彼女にとって、舞台空間は新鮮さとともに難しさを感じた場でもありました。
「映像はカメラがどこにあるか決まっていて、映らない場所もあります。一方、舞台は360度、お客さんから見られます。その違いがとても面白かったんですが、攻略法を見つけるところまでは辿り着けませんでしたね。『今までやってきたことと違う、大変大変』と言っているうちに終わってしまい、自分の足りない部分を思い知ったような気がします。それと、ひとこと言って去るシーンの台詞を『毎日アドリブで』と演出家から言われてたんですが、本当に思いつかなくて困りましたね(笑)。『今日はいい天気』くらいのことでいいんですけど、やっていくうちに、だんだんウケを取りたくなってきちゃって。だけど、全然思いつかず、毎日スベっていたような気がします(笑)。正直、舞台はとうぶんいいかなと思いました」
その「とうぶん」が、休業期間も含めて25年になったわけですが、数年前からは舞台出演を熱望してきたそうです。
「若い頃は舞台の見方がわからなかったんですが、40代、50代になってやっと、その面白さがわかってきたんです。ここ数年、いろんなところで『舞台をやってみたい』と言ってきて、やっと声を掛けていただけたのが、『セールスマンの死』でした。PARCO劇場、主演が段田(安則)さん、『はい、やります!』という感じでしたね。段田さんの魅力? 説明する必要なんてないでしょう! ご一緒したいと思ってもなかなかできる方ではないので、こんな恵まれた機会はないなって。PARCO劇場にしても、望んで立てる舞台ではありませんからね。そこに、25年も舞台から遠ざかっていった私が立たせていただけるだけで、ありがたいことです」
女優・鈴木保奈美さん、
年齢を重ねていっそう増す美しさ
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